FIFA副会長・鄭夢準「大韓サッカー協会」会長に聞く

今こそ役割果たすとき/雰囲気作りに寄与


  【平壌19日発=金志永、李鉉民記者】 国際サッカー連盟(FIFA)副会長の鄭夢準「大韓サッカー協会」会長が15〜19日、平壌を訪問した。平壌出発に先立ち、今回の訪問成果と平壌の印象について聞いた。

 ―平壌訪問の成果は。

 今回、様々な問題を話し合うことができた。北側の人々がわれわれの意見を歓迎してくれ、今後、共に努力していくことについて合意できてうれしく思っている。

 われわれも最大限の努力を尽くしたし、北の関係者も熟慮したうえで最善を尽くしたと思う。今回の訪問が、南北サッカー交流のための肯定的な雰囲気作りに大きく寄与したと考える。

 もちろん、今後討議すべき問題もある。しかし、ボトルにお酒が半分入っているのを見て、悲観的な人は「半分しか残っていない」と言うし、楽観的な人は・「まだ半分も残っている」と言う。われわれは今回の協議を通じてもたらされた内容を、積極的に評価すべきだろう。

 南から共に来たサッカー協会の関係者も、今回の協議を従来の協議とはまったく違う雰囲気の中で行うことができたと話していた。まるで兄弟同士が討議し、議論するようなそんな雰囲気だった。互いに相手側を理解し、自らの立場について率直に話し合った。私たちには何の違いもないと確信するようになった。

 ―北側とサッカー交流を進めようという目的は。

 南北交流の必要性については、もはや説明する必要もないだろう。

 実際にこの間、政治、軍事的な問題によってサッカー交流が中断されていたので、われわれの提案が実現するのは困難だと思われがちだが、別の見方をすれば、われわれがそんな状況に置かれているからこそ、サッカー交流が必要なのだ。

 サッカーは、他のスポーツよりも人々の民族心に大きく訴える力を持っている。今こそ、サッカーが役割を果たすべき時だ。今、サッカー交流が進展すれば、平壌、ソウルで南北統一サッカー大会が行われた90年、世界ユースに南北統一チームで出場した91年当時のサッカー交流よりも、その波及効果が大きいと思われる。

 南北間でサッカー交流を行うだけでなく、国際サッカー連盟(FIFA)が主管する各種の大会に南北が統一チームで積極的に出場すれば、朝鮮半島の周辺情勢にいい影響を与えるだろう。

 ―初めて平壌を訪れた印象は。

 妙香山に行った時、途中の高速道路で車を止めて少し休憩した。すると、道路脇の歩道を歩いていた少年が一度、通り過ぎた後に振り返り、「サッカー協会の鄭夢準会長だ!」と大きな声で言った。なぜ分かったのかと聞いてみると、テレビで見たという。こうしたことからも、北側が私たちをとても歓迎してくれている印象を受けた。

 一緒に来たサッカー協会関係者らも市民の表情が明るく、平壌滞在中にとても柔らかな、いい印象を持ったと話している。

 こうした雰囲気が続いていかなくてはならない。サッカーの問題と関連して引き続き話し合っていかなくてはならない要件もあり、可能な限り私もたびたび平壌を訪問したいと思っている。