春夏秋冬
今月初め、都内のホテルで身柄を拘束されたこともあってか、2年前に保釈中、行方をくらましたK被告の話を立て続けに聞いた
▼1人は飲食店の主人。修業先の店にK被告がよく現れていた。金遣いが派手で、「財布を持ってこさせると、数えないで札束を一つかみ取り出し、『小遣いにしろ』と言ってくれた」という。多いときは31万円、少ないときでも18万円あった
▼もう1人は政界に身を置く人物。K被告から再三、面会の要請があったが、断るのに苦労したという。断ることぐらいは簡単なようだが、これがなかなかたいへんで、K被告は、断りきれないような人物を介したり、あの手この手を使って接近を試みた。「会っておしまいというわけにはいかないから」
▼K被告が失踪したとき、朝鮮に「ら致された」とか、「潜伏している」とかいううわさが流れた。うわさの出所はよく分からないが、ダーティな問題をなんでもかんでも朝鮮と結びつけようとする風潮は、笑って済まされない
▼とある日本の情報機関に勤めていた人物に新潟で行方不明になった少女の事件についてたずねたことがある。「北朝鮮がやった可能性は50%だ」と彼は答えた。「でも動機がない」と食い下がる筆者に彼はさらに話を続けた。「同時にソ連がやった可能性も50%、中国、韓国もそれぞれ50%ある」つまり、どの国が少女を「ら致」したのか、断定しかねるというのが、彼の結論だった
▼新潟少女行方不明事件については、本紙でも再三、取り上げたことがある。大事なことは、事実と伝聞とをしっかりと見極めることだ。(元)