春夏秋冬
物事を理解するうえで、知ろうとする分野の互いに異なる(あるいは類似する)2つの物を比較、検討すれば案外、早く飲み込めるようになる。2つを並べてみるのだから、違いは一目りょう然だ
▼学問の分野では、いち早くこの手法が取り入れられ、医学全般を始め文学、教育学、心理学など、各研究を深めるのに大きな貢献をしてきた
▼しかし、政治の分野においてこの手法が、学として確立されたという話は耳にしたことがない。民族、言語、風習、文化などそれぞれ異なる風土を礎にして国が成立、発展してきたことに起因しているのだろうか。あるいは、大国の論理がそのまま小国に一方的に押しつけられてしまうことを懸念してのことだろうか
▼専門的な事はよくわからないが、比較、検討すれば見えないものがよく見えてくるというのは、この分野においても例外ではない。とりわけこの分野で、非常に見えにくい同盟国同士の動きを認識するうえで有効である
▼最近では、日本の教科書大手2社が「従軍慰安婦」の表記を「慰安婦」に改め、強制連行の記述を省く訂正申請を文部省に行った、というニュースと、米上院に、第2次大戦中にドイツやその同盟国の植民地などで強制労働や生体実験の対象になったすべての国籍の人や遺族が米国の裁判所で損害賠償請求を起こせるという法案が提出されたというニュース
▼日米両国は、国交があるという程度を越えて「強固な同盟国関係」にある。しかし、前述した2つの事実の背景にある植民地支配に対する観点、立場は明らかに異なる。比較論の多用を勧めたい。(彦)