在日朝鮮人美術家4人展/リアルな色彩で故郷を描く
在日朝鮮人美術家の重鎮である蔡峻、韓東輝、高三権、洪永佑の各氏による4人展が8〜14日、東京銀座画廊美術館C会場で行われた。
今回、初めての4人展には、43点が展示され、どれも作者らが一貫して追求しているテーマが濃厚に表れていた。
過去と現在の時代を辛口なタッチで風刺する蔡峻氏、生まれ故郷の風物などを素材にし、その生活文化と情緒を表現する韓東輝氏、鮮烈な色彩で故郷の風土を描いた高三権氏、民俗的、土俗的なものを通して民衆の生活を描いた洪永佑氏。表現形式と手段は異なっていても作者らのモチーフは、「故郷」という一点で共通していた。
「故郷は、民族愛の中で最も具体的な概念だが、1世の親たちと生活していない新しい世代にどれだけ私たちの故郷に対する強い思いを訴えることができるのかを模索しながら描いた」(高三権氏)というだけに、リアルな色彩で故郷の精神・生活を鮮やかに伝えている。
「オモニの顔」「産業鮮死」(蔡峻氏)、「漢拏山」「あばら屋」(韓東輝氏)、「海」「秋」(高三権氏)、「歓喜」「古都の記憶」(洪永佑氏)など、見る者を引きつける。洪永佑氏は「1980年に初めて祖国・ケソン(開城)を訪れた、あの時の感動を作品に表すことができて嬉しい」と語った。
4人展は、昨年末の「韓東輝個人展」の場で、「互いに作品を見てこれからの創作向上の励みにしよう」と意見の一致をみ、企画化された。
「今回、互いに刺激しあっていい勉強になった」(韓東輝氏)、「解放後の在日朝鮮人美術家たちの業績をきちっと評価することが大事だ」(蔡峻氏)と抱負を語りながら、かつ先月に行われた「アルン展―在日コリアン美術展」を成功させた青年美術家たちに期待を寄せていた。 (哲)