春夏秋冬
11日、東京の最低気温は9.2度で、今年初めて10度を切った。そろそろストーブを出す時季かなと思った。今では、生活様式の変化や暖房器具などの普及で各家庭の暖房は、ほとんどがガスか電気、石油を使っている。スイッチを入れるだけで点火や消火が簡単、温度調節が自動のものもある
▼しかし筆者が子どものころ、40余年前の暖房手段は木炭、練炭、たどん、石炭で、今ほど便利ではなかった。日の出とともに起き出して、ハルモニと一緒に寒さに震えながら七輪で練炭に火を起こすのをいつも手伝わされた
▼練炭といっても、今の若い人には分かるだろうか。無煙炭・コークス・木炭などの粉末に粘結剤を加えて固めた加工燃料。いくつも縦穴をあけた円筒形で、燃焼時に特有の臭い(ガス)が出るが火持ちがよく、暖房、炊飯用に利用された
▼練炭の材料の木炭(炭)が今、燃料としてではなく健康に良いということでブームである。たいていの焼鳥屋は「備長炭使用」とうたっているようだが、炭には他にも、様々な「効力」がある
▼「備長炭」の故郷、和歌山のある森林組合では、「炊飯・浄水用」「入浴用」「シート」「CD」「飲料水」「木酢液」「枕」「健康マット」「夢入袋」などに分けて製品化し、通信販売しているほどだ。さらに、ある企業では最近、炭のもつ遠赤外線効果を利用した健康シールの製造、販売まで決めた
▼「温故知新」。昔のことにとらわれず、それに基づきながらも、新たな思考と発想で、どう行動するか。21世紀を目前にして個人や企業をはじめすべてに求められている。(喜)