それぞれの四季/果てしなき闘い

金栄子(キム・ヨンジャ、看護婦)


 何年も前から、時々、日本の新聞に載るようになった記事に、目を引かれるようになった。旧日本軍軍属として徴用され、九死に一生を得るような苦労の果て、国籍条項によって損害賠償請求を却下された姜富中さんたち、元「従軍慰安婦」として、勇気を出して日本政府の謝罪と補償を求めて、東京地裁に提訴に来た金学順さん(故人)たち、在日でもただ1人、法廷で謝罪と補償を求め続けている宗神道さん。

 訴える度に棄却されているにも拘らず、仲間が次々とこの世を去っても、諦めることなく高齢や病弱を押し切って、日本政府の不当性を糾弾し続けている。

 彼らの「戦後」は、いつ果てるとも知らない。その姿勢に、彼らの断腸の思いを感じ、また、人間としての尊厳をかけて日本政府とたたかい続ける姿に心からの敬意を表したい。

 それにひきかえ、日本の元軍人らに対する年金・恩給などの手厚い保護は、「戦争犠牲者援護費」として支払われ、40兆円を超えているといわれている。さらに、戦没者の遺族らには、特別弔意金が支払われている。

 しかし、在日朝鮮人の被害者たちには、「国籍条項」を理由に全く何もなされていないのだ。

 戦前戦後を通じて、法を巧妙に操る日本の為政者たち。それに対し不退転の決意、「正義の実現」のために立ち向かう被害者たち。これこそ、私たちへの生きた教育そのものではないかと思う。

 いつまでも「おかしいものは、おかしい」と感じ、「いいものは、いい」と感動する感性を持ち続けたい。