ウリ民族の風習、伝統/セシ(歳時)(1)トンジ(冬至)
小豆の粥を食べ鬼神を払う
トンジ(冬至)は夜が最も長く昼が最も短い日である。旧暦11月をさして「トンジタル(月)」ともいう。新暦では、12月にあたる。
トンジは「アセ(亜歳)」、また「小さい元旦」とも呼ぶ。
「朝鮮歳時記」(洪錫謨他・平凡社)によるとアセは、歳朝(元旦)につぐという小正月の意味だ。つまり、しだいに短くなった日が、この日になって極限に達し、再び回復して長くなりかける境目の日である。
昔からこの日に「パッチュッ(小豆の粥)」を食べると、無病息炎で福があるといわれた。
パッチュッは小豆を煮てつぶしてふるいにかけ、その汁に餅米ですずめの卵位の大きさに作った団子を入れて粥を炊く。この団子を「雀卵の団子」と呼んだ。
パッチュッは、チェサ(祭祀)のときに供物として使われたのち、豆の汁を門板にそそいで厄払いにする。このようにすれば、厄を防ぎ、雑鬼を追い払ってくれるとされた。
古代中国の故事によると、ある人に不肖の子がいて、トンジ日になって死んで、疫病神となった。しかし、この神は、小豆を恐れたので、トンジ日には小豆の粥を炊いて鬼神を追い払う風習が生まれたといわれている。
11月の季節食としてレンミョン(冷麺)がある。昔も今も、温かいオンドルパン(温突房=高句麗時代から伝わった床下暖房装置の部屋)に座って食べるレンミョンの味は、格別だという。
冬であり、寒いので暖かい物を食べるのが常識だが、平安道と咸鏡道では零下10度の寒い日でもレンミョンを食べると、いわれている。
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セシ(歳時)は、1歳4時、つまり1年を春夏秋冬の4時に分け、それぞれの季節の移り変わりにしたがって区切りをつける年中行事のことをいう。今号から、朝鮮古来から伝わる歳時風俗などを紹介する。