家庭菜園―私の歳時記/鍋物に欠かせぬ京菜

（崔敦�K　習志野市在住）

　暖かな日が続いている。小春日和、昔の人は旧の１０月を小春といい、この頃の春のような穏やかで暖かい日を小春日和といったという。もちろん今も初冬の春のような天気をこのように呼んではいるが、往々にして春の暖かい日を指して誤用される場合があるらしい。

　さて、わが菜園の話。１０月中旬にまいた京菜が勢いを増し、間引いて食してもいい時期である。また一部は株を大きく育てるために植え替えようと思っている。

　京菜は思い入れのある野菜だ。京都育ちのため幼い頃から京菜の味は舌がよく覚えている。１０代の終わりに上京し、その後はほとんど口にしたことがなく何十年が過ぎた。結婚後も食することなく習志野に住み、少々の野菜を作るようになり農協の種苗売場を覗くようになった。

　何年か前、偶然に京菜の種を見つけ、買ってきてまいたのが始まりである。

　育った京菜は深い切れ込みがあるものだった。

　実は、私が京菜と思っていたのはミブナ（壬生菜、京菜の変種で壬生で主に生産されていた所からついた名前）といい、葉に切れ込みのないもので、葉に切れ込みの入ったものをキョウナ（京菜）と言うらしい。ゆえにわが菜園のものが本当の京菜、またの名を水菜（壬生菜が訛ったともいう）というのが分かった。昔からハリハリ鍋（クジラ肉の鍋物）には欠かせない野菜だったそうだ。

　この野菜はわが家の場合、寒い日の鍋物に必要なものだが、それ以上に重宝しているのがキムチである。大きくなる前から間引きながら何回かに分け、キムチを作り味わっている。