春夏秋冬
15日からベルリンで朝米会談が開かれる。ペリー報告書の公表・米政府の対北経済制裁措置の一部解除を織り込んで開かれた「9月の会談の続き」(朝鮮中央通信)である
▼さらりと、目を通してはいたが、この機会にと改めて報告書の日本語訳全文を精読してみた。「関係改善への第一歩」との見出しで、本紙でも解説記事を掲載したが、なるほど、画期的な文書であることを再確認させられた
▼原文は機密扱いで公表されていない。そのコピーも関係国に(2通)しか配布されていない。関係者の話を総合すると、その理由は「部分的にストレート過ぎる表現が見られるから」だという。関係国の反対派を今、いたずらに刺激する必要はない、という配慮が働いているというのだ
▼「米国と同盟国は段階を踏んで、相互的なやり方で、北朝鮮側が脅威と感じている圧力を減らす方向に動いていくつもりである」。どうもこの部分の取り扱いらしい
▼南・日本の駐留米軍、第7艦隊と核兵器、合同演習、米日ガイドライン・周辺事態法…。脅威の対象は多い。続開されたベルリン会談、そしてその延長上で論議されている、格上げされた朝米次官会談で、相互の脅威を減らしていくための具体的な話し合いが行われていくことになる
▼日本政府がチャーター便の凍結解除を発表したのも、このような朝米の動きに押されてのものだろう。しかし、7日に行われた「邦人輸送演習」。日章旗をたてて「某国」に乗り込み展開する自衛隊。朝鮮半島の冷戦構造をなくそうという朝米の動きとは、あまりにも好対照をなしている。(彦)