99年度焼肉店経営集中講座/清水均氏の講演から(下)
1999年度朝鮮料理(焼肉)店経営集中講座(10月19〜20日)で行われた清水均氏の講演「生き残りをかけた朝鮮料理店経営」の要旨。
宴会シーズン
これから宴会のシーズンを迎える。予約が入ったら、オーナーや店長が自ら確認して欲しい。
聞くべきことは、日時や人数だけでなく、どんな目的でどんな人達が来るのかだ。歓送迎会か、女性や若い人が多いのか、肉は量より質なのか逆なのか、最後に御飯物は必要かなどなど、予算内でいろんな相談を受けられる。
宴会に使ってくれた所には、サービス券、キムチなどを持って礼に行くべきだろう。
お客の立場になって尽くしている店はやはり繁盛している。
飲食業の原理は、「たらいの原理」だと理解して欲しい。たらいの水は、手前にかき集めようとすれば、どんどんまわりに散って行く。逆に、向こう側へ押し出すほどに、手前に水が入ってくる。
何と言っても、飲食店の宣伝で一番強いのは口コミだ。
お客に満足して帰ってもらうために、本気で尽くす。この場合、「本気」とは「やり続けること」を意味する。
効果測定
値引きサービスなどの販売促進では、効果測定が不可欠だ。値引きが客数の増加につながったかを調べる必要がある。
成否の目安は、かかった原価の三倍だ。外食産業の原価率は通常、3分の1程度と言われるからだ。
例えば生ビールの無料券を、3000枚配るとする。回収率は7〜8%で、良くても15%くらいだ。原価200円のビールが200杯出たとしたら、店の負担は4万円になる。ではその効果として、売上は12万円増えていなければならない。
お客に向けた販売促進と同様に、内側のしかけも大事だ。例えば、調理場での食材、料理の品質管理の水準を上げれば、結果としてお客に良いものを還元できるようになる。
ホールでも、従業員一人ひとりが商品説明を的確に行うことで、販売促進になる。新メニューを作ったなら、その料理のオーダーを誰が一番先に取って来るかコンテストをしてもいい。
増益体質
減収が当然の今だからこそ、日々の売上、利益にこだわって欲しい。それが増益体質づくりにつながる。
3年後に店をどこまで育てたいかを明確な目標として持ち、そのために今年はどれだけ、今月はどれだけの売上が必要かを考えて欲しい。例えば11月は何曜日が何回あって、だからこの日はランチでいくら、ディナーでいくらの売上が必要だ、ということになる。これがなければ、毎日が同じことの繰り返しだ。
例えば、ランチで8万、ディナーで12万の、計20万が目標の日があるとする。ランチが6万しか売れなかった場合、優秀な店長なら夕方からのパートを集めてこう言うだろう。
「皆さん、今日は残念ながら昼は2万円足りません。今夜は宴会の予約もあり、見込みの客数で2万円を割ると、1人約350円です。ですから生ビールをご注文のお客さんには、積極的におかわりを勧めてください」
この時代、売上を落としているのは「動かない」経営者の態度だ。何かアクションを起こしてこそ結果が出る。成功しなくとも、次の手が打てる。批評家では生き残れない、実務家の時代だ。(次回は東條伸一氏「接客サービス向上法」)