排他・女性蔑視の土壌
この男の野卑な発言に呆れていては、心臓がいくつあっても足りない。「核とは 抑止力 なんですよ。強姦しても何にも罰せられんのやったら、オレらみんな強姦魔になってるやん」「征服とは、その国の男を排除し、征服した国の女を強姦し、自分の子どもを生ませるということです」
ご存じ西村真悟前防衛政務次官の暴言である。これに対し、研修コンサルタントの辛淑玉さんが「本質的に痴漢が政治家やっているだけで、この政治家がいま急に痴漢になったわけではない」(朝日新聞)と的確に批判していたが、同感だ。好戦的で、女性蔑視の言動はもはや、「犯罪的」としかいいようがない。
居直り強盗的な発言は、枚挙にいとまがない。日本軍によって「性奴隷」を強いられた被害者らの謝罪と補償を求める動きを「金ほしさ」と決めつけ、野卑な言葉で侮辱する。「日本だけが悪いのではない」「何度土下座すれば済むんだ」…。
日本の政治家のこうした破廉恥な言動は、A級戦犯が首相となり、戦争犯罪人が戦後も大きな顔をして政治の表舞台に立ってきた日本だけの「特異現象」だ。
例えばドイツでは、ナチス礼讃は刑法違反になり、「ユダヤ人虐殺はウソ」などと公然と主張すれば、民衆扇動罪に問われる。過去の戦争犯罪を賛美すれば刑務所行き、なのである。戦争責任を取るという厳しい認識が、政府と国民の中に定着しているのだ。
しかし、日本では他民族蔑視と女性蔑視の土壌の中で生まれ、育まれた政治家が、拡大再生産され、大声をあげて、戦争を煽り、女性らを罵り続けている。その鈍感さ、厚顔さに吐き気をもよおすのは、私一人ではあるまい。(粉)