えこのみっくナビゲーター/「次世代カー」は地球を救う
地球温暖化の原因となる有害物質に、ガソリン車の排ガスに含まれる一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)がある。これらを低減、あるいはゼロにしようと、日本の自動車メーカー各社の間で今、ガソリン駆動ではない、まったく新しい駆動システムの開発が盛んだ。千葉・幕張メッセで3日まで開かれた第33回東京モーターショーでも、夢の次世代カーが続々と発表され、大きな注目を集めた。
水素+酸素で発電――燃料電池自動車
100%充電式を実現――電気自動車
ガソリン・電気併用――ハイブリットカー
環境問題への社会的関心が高まる中、COやCO2の排出量を抑えて環境に配慮した「エコカー」の開発が進んでいる。
ガソリンなどの石油燃料を燃焼させてエンジンを動かす方法では、排ガスは避けられない。そこで考えられたのが、石油燃料に頼らない駆動システムの研究。電力の利用がその代表だ。
低公害車の代表的存在と言われる電気自動車は、外部から充電したバッテリーでモーターを回す、100%電気駆動。排ガスはゼロだが、充電の施設不足や割高なコスト、走行距離に不安が残ることなどから、実用化には至っていない。
そこで、折衷案として編み出されたのが、トヨタの「プリウス」(215万円、9月末現在の現金希望小売価格)に代表される、ガソリンと電気を併用したハイブリッドカー。唯一、すでに実用化され、市販されているエコカーだ。
ハイブリッドは英語で「混成、混合」の意味。文字どおり、ガソリンと電気の混成品を指す。ガソリンで発電機を回してバッテリーを充電し、その電気でモーターを動かす「半電気自動車」で、自ら充電しながら走るので、外部から充電する必要はない。ガソリン使用量が少ないから、排ガスも少なくて済む。
一方、燃料電池は、充電という概念とはまったく異なる。宇宙開発に使われている技術で、水素と酸素を使って化学的に電気を起こすシステム。理科の実験でおなじみ、水に電気を通して水素と酸素に分解させる、電気分解の応用だ。
固体・液体水素、あるいは水や天然ガス、メタノールなどから取り出した水素に、空気を加える。すると、水素と空気中の酸素が化学反応を起こし、電気と水が発生する。水は外に排出し、できた電気でモーターを回す。電気分解とはまったくの逆方向をたどる。
発電した電気を直接モーターに送るのでバッテリーは必要なく、生成物は水のみとクリーン。実用化が待たれる注目のシステムだ。
実用化へ各社意欲/モーターショーに出品
東京モーターショーでは、様々な趣向を凝らした、ハイブリッドカー、電気自動車、燃料電池自動車などのエコカーの試作品が出品された。
プリウスで一躍脚光を浴びたハイブリッドカーでは、トヨタ「HV―M4」、三菱自動車「SUWアドバンス」、ホンダ「インサイト」と、ニューモデルが続々登場。いずれも軽量・低燃費を強調しており、現時点で最も実用的なエコカーとして市販が待たれる。
電気自動車では日産「ハイパーミニ」やスズキ「EV―スポーツ」、燃料電池自動車ではホンダ「FCX」やマツダ「デミオFCEV」などが出品。こちらもやはり燃費の良さが売りだ。
こうした次世代駆動システムとともに、各社が独自の斬新なコンセプトを持たせたコンセプトカーも注目を集めた。(柳成根記者)