BOOK/きっと変えられる性差別語
メディアの性差別表現をめぐって、研究者や市民グループ、自治体職員らによるガイドライン作りが相次いでいる。本書もそうした本の1冊。
東京大学教授の上野千鶴子さんが協力し、全国紙や地方紙から約100語を拾い出した。それぞれの言葉に、新聞で使われている「用例」と、できればこのように表現してほしいとの「対案」をつけた。
男性は「Aさん」、女性は「B子さん」とする仮名や、男性を「○○氏」、女性を「××さん」とする敬称の使い方などが挙げられた。対案としては「A」「B」など、どちらも同じ表記にすべきだとしている。
編集者らは「性別は女」を強調する呼称や敬称は、男性を基準として、女性を亜流扱いするものとして、メディア側の変革を強く求めている。
さらに、「PKOで少女売春」の見出しの対案には「PKO将兵が少女を買春」が挙げられた。買う側の責任こそ問うべきだとの、近年の社会の認識の変化が投影されている。女性差別の問題は、人類最後の課題といわれるぐらい解決困難な地球的、人類史的、人間的なあり方を問うテーマ。時代遅れとならないよう同胞社会の男女平等に向けての必読書。(定価1500円、三省堂、TEL 03−3230−9412)