ウリ民族の風習、伝統/チェサ(祭祀)(4)供物と調理上の注意


神位の近くにご飯と汁を置く

 チェサ(祭祀)にはご飯、汁の他に、肉、野菜、チジム(お好み焼きのようなもの)、果物などを準備する。地方と家庭によっていろいろと違いがあるが、ここでは標準的な品目を紹介する。

 その中で、最もよく使われる食材は、肉(牛、豚、鶏)、魚(にしん、たい、いしもちなど)、干し物(めんたい、するめ)、野菜(大根、白菜、もやし)、果物(リンゴ、バナナなど)、汁物用のたい、かき、はまぐり、豆腐などがある。

 調理するうえで、注意しなければならないことは、ニンニク、唐辛子をあまり使用しないこと。特に唐辛子は、古来からの宗教儀式上の慣例として使ってはならないことになっている。また、魚はコンチ(さんま)、サムチ(さわら)、カルチ(太刀魚)のように、最後に「チ」がつく魚は使用せず、チョギ(いしもち)は必ず供える。果物では、桃は霊が嫌うといわれ、使用しない。

 次は、料理の置き方である。まず、神位(故人)に向かって右側を東とし、左側を西とする。

 料理は5列に並べるのが、一般的である。神位に最も近い第1列目に、ご飯、汁、杯を置き、スプーンとはしをそろえるのが基本だ。ご飯は左側に、汁は右側に置く。

 2列目に、焼魚などを右側に、焼肉類などは左側に置き、3列目に、牛肉、大根、こんぶをうすい塩味のスープで煮たユタン(肉蕩)などを並べる。4列目には、干した魚介類を左側に、ほうれん草、もやしなどを調理したナムルなどを右側に置く。

 5列目に、左側からなつめ、栗、なし、かき、リンゴなどの菓子・果物類を並べていく。

 これら以外に、故人が一番好きだった食べ物を供えることも心掛けるべきだ。