心と体をリフレッシュ――夫妻でトレッキング
足腰の痛みを山歩きで癒す
私たち夫婦が本格的に山に登り始めたのは、阪神大震災を体験してからだ。それまでに近場の山を歩いていたが、震災後、日本100名山など大きな山に登り、自らの足で大地をしっかり踏みしめたいと思うようになった。こうして始めたトレッキングだが、心と体をリフレッシュさせてくれる。私たちの体験を通して山と健康について綴りたい。
深まり行く秋の北海道、羊蹄山(後方羊蹄山・シリベシ山)に、10月初旬登った。登山前日の雨は上がってほっとしたが、先月の遭難事故のことなどを考えると緊張もする。
羊蹄山は日本百名山。コニーデ型の独立峰で「蝦夷富士」と呼ばれる。比羅夫(倶知安)コースは、標高差1548メートルのアップダウンのない登りが続く。
最初は穏やかであるが、風穴を過ぎると急な登りになる。あえぎあえぎ登り、五合目近くに来ると霧氷が現れ、ザラメ状の雪が道を被っていた。九合目を過ぎ、火口の縁に立つと、眼前の景色は一変し、薄く雪に被われた大きな火口が広がる。山頂の景色を楽しむことが出来たのはつかの間で、ガスが視界を遮る。
北山を過ぎ、まず旧羊蹄山山頂に至る。すぐ先には三角点(1893メートル)がある。気温は二度。
さらに進むと、喜茂別コースと出会い、そこが羊蹄山山頂(1898メートル)である。残念ながら、張り出したガスで展望は良くない。
下山は、急坂を黙々と下る。雪の溶けた道は滑りやすい。黄葉した山々、樹林の道は秋を満喫させてくれる。
入山時間7時55分と記した登山届けに、下山時間15時55分を書き加え、羊蹄山を後にした。
今回の山行には、われわれ夫婦に不安がないでもなかった。それぞれが膝と腰などに違和感を感じていたからだ。
ひどくなればギブアップするしかないのだが、登っているうちに痛みがなくなっていたのには驚いた。
急性期を過ぎた軽い腰痛や肩こり、炎症を伴わない膝の痛みなどは安静にするよりも適度に動かした方が改善することも多いようだ。
科学的根拠は定かではないが、末梢への血行を良くして、筋肉組織内の酸素摂取量を良くし、筋力を増強させるようである。
ただし骨折や炎症があったり、変形性膝関節症や頚部変性疾患などがある時は、悪化するので注意が必要だ。(朴宗彬・大学教員、韓希望・医師 神戸市在住 月に1回掲載予定)