そこが知りたいQ&A/総聯はどう変わろうとしているのか


  総聯が変わろうとしていると聞きましたが。

  総聯は9月21日、中央委員会第18期第3回会議拡大会議を開き、徐萬述第1副議長の報告を通じて「活動方法の転換」を宣言しました。

  どのように「方法転換」をしようというのですか。

  ひとことでいうと、同胞不在の運動からの脱皮を図ろうとするものです。

 具体的にいいますと、(1)同胞の新しい世代(3、4世)の考え、要求に合わせる(2)幅広い同胞(民団同胞や既存の組織と関わりのない人、日本国籍取得者など)を対象にする(3)国際情勢の変化、日本の実情に合わせていく――の3点です。

  どれも、当たり前のことではないでしょうか。

  総聯は44年前、同胞に寄与するための大衆団体として結成されましたが、いつの間にかこうした理念よりも組織の論理、政治の論理が優先されるようになってしまいました。

 この間、世界や朝鮮半島、日本社会を巡る環境は大きく変わりました。また同胞社会では、1、2世から3、4世への世代交代が進み、個々の価値観や生活のスタイルも様変わりし、多様化しました。

 総聯は、このように変化した同胞社会の現実を運動に反映させることができず、その結果、同胞たちとの間に大きな距離ができてしまいました。

 今回の「方法転換」は、「総聯の主人は同胞」であり、その活動は「日本で行われている」という当たり前のことを再確認し、初心にかえって、同胞のための真の同胞大衆団体に生まれ変わろうとするものです。

  なぜ、今になって・「方法転換」が打ち出されたのですか。

  今回のような「転換」が必要であることは以前から指摘されてきました。90年代半ば以降、政策にもその方向性は示されてきました。しかし、かけ声だけに終わり、なかなか実行できませんでした。

 21世紀を前にして、同胞不在の運動をこのまま続けていては、21世紀には、総聯の運動が完全に一部の人だけのものになってしまうという強い危機感が働いたものと言えます。

  どんな対策が立てられたのですか。

  社会保障や福祉、権利拡大など、同胞の生活面を担当する同胞生活局が筆頭局に格上げされたのをはじめ、中央常任委員会の機構が改編されました。今後さらに、支部や生活サービス部門を強化する方向で組織全体の見直し作業が進められていく予定です。

 また支部は、地域の実情に合った同胞生活サービスの拠点として、自律性を備えた「同胞生活相談総合センター」になっていきます。また同胞代表が参加する協議会の設置など、同胞たちの声を政策立案に反映させるシステムも作っていきます。

 さらに具体的な政策課題としては、生活・権利問題の他に民族教育問題の重視、文化・宣伝活動の改善と同胞情報交流ネットワーク、地域社会における日本市民との協力関係作りを掲げています。