1999年―展望―南北関係
民間交流拡大に期待/外勢依存排し民族大団結を
南北関係では今年、民間級の交流がどう持続、発展していくのか、また当局者間の対話が再開されるのか、という点が注目される。外勢に依存せず民族が大団結し、同族が手を取り合うことが、南北関係を不信と対決から信頼と和解に転換させ、祖国統一の転換的局面を切り開く突破口となる。
統一阻む障害除去
金正日総書記は、南朝鮮で「政権」が交代した後、昨年4月18日付書簡「全民族が大団結し、祖国の自主的平和統一を達成しよう」を発表した。
書簡で貫かれている内容は、民族大団結を実現するうえで重要なのは民族自主の原則を堅持していくことであり、それは外勢の支配と隷属に反対し、民族の自主性を守るために民族が団結してたたかうことであるということだ。
書簡では(1)民族自主の原則堅持(2)愛国愛族の旗印の下に団結(3)南北関係を改善(4)外勢支配と反統一勢力に反対(5)全民族の接触・対話で連帯連合を強化という、民族大団結5大方針が示された。これは、共和国側の対話の意志と努力の明確な表れである。
今年の共同社説は「全民族が和合し団結すれば、それがすなわち祖国統一である」と明言。南朝鮮における活路は外勢依存を排して同族と手を携える連共・連北統一にあり、そのためには南朝鮮が反外勢・自主化闘争に臨むとともに、統一を阻む制度的障害物である「国家保安法」と「国家安全企画部」、統一部をなくすべきだと指摘した。
共和国側が提示したこれらの条件をクリアし、民族自主・大団結の立場に立って、外勢依存・反北対決政策から同族と手を携える連北和解政策に転換することで、南当局の統一への意志が試されることとなる。
1万の観光客が訪北
南北では昨年、民間レベルの交流で目覚ましい進展があった。
何といっても、南朝鮮財界トップの鄭周永・現代グループ名誉会長一行が3回にわたり板門店経由で訪北したことが挙げられる。現代グループは、(1)金剛山観光事業(2)20万トン規模の中古船舶解体事業(3)平壌に10万キロワット能力の火力発電所を建設(4)ミネラルウォーター開発(5)自動車輸出のための組立工場建設(6)カーラジオ組立工場建設(7)通信事業(8)現代側が入札した第3国の建設対象への共同進出(9)工業団地開発(10)石油開発・供給――の10項目の南北経済開発協力事業で北側と合意。またスポーツ分野の交流協力のため、平壌に室内体育館を建設することにした。
2回目の訪北の際には、金正日・共和国国防委員会委員長が宿舎へ鄭名誉会長を訪ね、石油開発やスポーツ交流などについても意見交換。昨年11月18日に始まった金剛山観光事業は順調に進み、年末までに参加者は1万人を突破した。 また、南当局の発表によると、昨年1年間に金剛山観光以外で訪北した人は、約3000人に上った。これは89〜97年の約2400人を超過する数字だ。
南の各紙では対北民間交流の話題が扱われ、人々の北への関心も集まっている。鄭名誉会長という大物の訪北をきっかけに、南北間に和解と協力の機運が高まっているだけに、金剛山観光をはじめ、今年も多くの民間交流が期待できる。
しかし、民間交流が進む一方で、訪北した統一人士に対する、保安法を適用した弾圧の現状はいまだ変わりない。民族大団結を成し遂げるには、反統一悪法である保安法が撤廃されることが第1である。
「前提条件」は不当
次に、当局者間の対話問題を見る。昨年4月に北京で3年9ヵ月ぶりに南北当局者会談が行われた。この会談は、肥料提供問題など互いの関心事を話し合う南北副部長級会談として、南側からの提起によって始まったものだった。
南で「政権」が交代して初の当局者間接触とあって期待は高まったが、南側が肥料提供という人道問題に政治問題を絡め、これを前提条件に掲げて「相互主義」を主張したため、8日目に決裂した。
これに対し、北の祖国平和統一委員会スポークスマンは「同族間の人道主義的支援問題を商売人のように取り引きする者と、果たして民族の運命に関する統一問題を共に論じられるのか。わが方は深く憂慮せざるを得ない」と、南の不誠実な態度を強く非難した。
当局者会談を再開させるためには、南側が「相互主義」を掲げて不当な前提条件を付けるようなことをせず、同族と力を合わせて民族の運命を自主的に開く方向に進むことが必要だ。南北関係の改善は、全面的に南の態度如何によると言えよう。(根)