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1999年―展望―朝・日関係


必要な対北規制措置の解除/過去清算は日本の義務

自主的判断ない

 今年の朝・日関係の展望が開けるか否かは、日本側の態度しだいだといえる。

 日本政府は共和国の人工衛星打打ち上げ(昨年8月31日)を弾道ミサイルと断定し、9月1日から規制措置をとっている。

 対話再開のためには、日本側がまずこの措置を撤回することが求められる。

 しかし、小渕首相は1日の年頭記者会見で朝鮮半島情勢について述べた際、共和国が弾道ミサイルを再び発射すれば「断固たる措置」をとるとし、米「韓」との協調にも触れながら共和国への対決姿勢を露骨に表した。

 また、「地下核施設」問題も持ち出して「日本の安全保障の面でも極めて大事」だと述べた。

 こうした発言は朝米、南北関係を横目で見ながら、日本が自主的に判断して共和国との関係改善に臨むことはあり得ないことを示している。

 共和国側は小渕首相の年頭記者会見での発言について、「昨年の狂乱的な反共和国騒動の再燃を告げる序幕」だと指摘、「日本当局は新年早々、カードをうまく切れなかったことを知るべきである。『断固対応』なるものが日本にどんな結果をもたらすかを考えるべきであろう。米国と結託し、あくまで反共和国対決への道に進むならば、もたらされるのは破滅のみだ」と警告した。

 

深刻な軍事的対決に

 日本政府が「弾道ミサイル」「地下核施設」などと騒ぐのは、これを軍事大国化の大義名分に使おうとしているからだ。

 11日にアジア大洋州大使会議に参加した町村外務政務次官は、「北朝鮮のミサイル発射」などと公言し、日本周辺の「有事」に備えた日米防衛協力のための指針(新ガイドライン)に関する法案を早急に成立させることが必要だなどと訴えた。

 昨年4月に国会に提出された新ガイドラインの目的は、朝鮮半島有事を想定したものであり、自衛隊を海外に派兵するための戦争態勢作りであることは明白だ。

 さらに日本は独自の軍事偵察衛星の開発や米国とともに戦域ミサイル防衛(TMD)構想の実現にも拍車をかけている。

 このような動きに対し労働新聞12月7日付は現在の朝・日関係について、「単純に冷却や悪化の水準ではなく、深刻な軍事的対決と戦争瀬戸際にまでひた走っている」と指摘し、日本が「反共和国敵視政策に執着する限り、われわれは今後も、外交や安保などの戦略的な問題はもとより、経済分野でも日本といかなる協商も期待しない」と明確に述べた。

 

ポーズではなく

 日本政府は規制措置の中で「国交交渉をせず、食糧支援もしない」としているが、そもそもこの問題を規制措置とすること自体が誤りだ。

 共和国はこれまで「朝・日国交正常化や食糧支援は義務性を帯びた問題ではない。しかし日本の過去の犯罪行為に対する代償を受け取ることは朝鮮人民の合法的権利であり、いかなる方法によっても、それを必ず実現させることが共和国政府の意志である」と述べてきた。

 つまり朝・日の国交正常化そのものと人道問題は義務的なものではないが、過去の清算問題は日本政府が必ず果たすべき義務であり、朝鮮人民の権利だ。

 共和国側はこれまでも再三、日本側の対話・交渉の求めに答えてきた。だが、もう一歩進めようとすると、常に日本側は本筋とは関係のない問題を持ち出して対話の進展を妨害してきたのだ。

 共和国に対しては唯一過去の清算が行われていないという状況で、過去の問題を話し合うための正常化交渉は、日本が「してあげる」という筋合いのものではない。

 高村外相は17日、共和国に対し日本が近く接触する用意があるとしながら、「正式交渉とかではなく何らかの接触はそう遠くない時期にあるのではないか。すぐに国交正常化交渉に結び付くのではなくとも、意思確認がまったくできないのはいい話ではない」などと述べた。

 しかし、日本が対話をする意思があるならポーズではなく、敵視政策を根本から変えるべきであり、過去清算のための努力をすることが必要だろう。 (嶺)