本の紹介/京都の中の朝鮮―歩いて知る朝鮮と日本の歴史 朴鐘鳴編著
京都市に今も残る、朝鮮渡来人の足跡をたどりながら日本と朝鮮半島との関係を紹介したもの。大阪と京都在住の在日同胞らによる「渡来人遺跡研究会」が過去3年間行ってきた、月1回の研究会と数回の遺跡調査などの活動成果をまとめている。
4世紀ころから江戸時代までの87ヵ所にのぼる遺跡、寺社、仏閣と朝鮮文化との関わりを万遍なく研究、調査し提示している。また対象は右京区や西京区などと区ごとに分けて編集され、写真やイラスト、地図などもふんだんに使っておりガイドマップとして使用するにも便利だ。
本書を携えて清水寺や八坂神社、竜安寺や仁和寺などを探訪すれば、朝鮮からの渡来人が「日本文化の源流の相当部分を形成」するのにどのような役割を果たしたか良く理解できる。
編著者はまえがきで、本書が「国際化時代」「多文化社会」といわれる日本で、「異なる人、物、文化……」への相互理解と相互尊重に寄与できれば幸いと記しているが、その目的は十分に達せられている。
1600円+税、明石書店、東京都文京区湯島2―14―11、電話 03−5818−1171