sinboj_hedline.gif (1986 バイト)

転換の年――99年共同社説を読む(上)/新時代


 政治、軍事、経済すべての面で世界のトップレベルに達した強盛大国――共和国が描く21世紀の自国の姿だ。労働新聞、朝鮮人民軍、青年前衛の3紙が1日付に発表した共同社説は、今年をそのための「転換の年」と位置づけた。今年の方針を共同社説から探った。(聖)

 

21世紀の強盛大国目指す/朝鮮式政治体制を整備

社会主義を堅持

 共同社説で目を引いたのは「金正日思想」が初めて登場したことだ。

 昨年9月の最高人民会議第10期第1回会議で金正日総書記は「国家の最高職責」である共和国国防委員会委員長に推戴された。このことは「金正日同志の思想と政治を実現できる国家機構体系が整備された」(共同社説)ことを意味する。同時に修正・補充された社会主義憲法は金日成主席を「永遠の主席」と明記。総書記は名実共に党、国家、軍の最高位につき、文字どおり金正日時代=新時代が到来した。

 その後初めて発表された今年の共同社説は「金正日同志の思想で一色化されたチュチェの国」を目指すと宣言した。

 昨年の共同社説では主席の遺訓を道標としたが、今年は総書記の思想を新時代の旗印とした。これまで主席にしか使われなかった「民族の太陽」の尊称も共同社説で初めて使われた。

 つまり、遺訓貫徹を強調してきたこれまでの共同社説とは異なり、総書記が指導する新時代の施政方針を示したものと言える。

 だからと言って主席色が払拭されたわけではない。昨年整備された朝鮮式の政治体制が「金日成同志が開拓したチュチェの偉業を最後まで完成させるための継続性ある政治体制」(共同社説)だからだ。

 社会主義体制を堅持し、祖国を統一するという主席の時代からの大きな目標は変わらない。

 

先軍思想で国家建設

 総書記の思想の中心をなすのが先軍思想だ。

 先軍思想とは、革命武力の創建と強化発展に優先的意義を付与し、人民軍を中核として革命と建設を推し進めていく思想を言う。つまり、朝鮮人民軍を中心に国防、経済など社会主義建設全般を推し進めていくということだ。

 近年、共和国は@社会主義の崩壊による市場の喪失A社会主義体制抹殺を狙う国際的圧力の強化B相次ぐ自然災害――によって、かつてない困難な中で社会主義体制を堅持し、建設を推し進めてきた。

 1996年の共同社説では「苦難の行軍」開始を宣言。昨年の共同社説では最終勝利のための強行軍を呼びかけた。

 今年も経済面での強行軍は続くと共同社説は強調している。

 とくに昨年は「地下核施設」疑惑をめぐって、朝米関係が再び一触即発の緊張状態に陥った。第2の北侵戦争計画「5027作戦計画」の完成も明らかになった。

 このような状況で共和国が軍を強化し軍を中心に社会主義建設を推し進めてきたからこそ、米国の戦争挑発から国家と人民を守り、社会主義建設を継続して進めてこれたと言える。主席逝去後の総書記の指導が各地部隊を中心とする軍に集中しているのもそのためだ。今年の共同社説で反米教育、階級教育の強化、全国要塞化、全人民武装化を改めて強調しているのもそうした脈絡から来ていると言える。

 経済的に一時的困難が続き、朝米関係が依然として緊張する中、今年も共和国は軍を中心に社会主義建設を進める先軍政治を推し進めていくだろう。これは「金正日式政治の根本的特徴」(労働新聞98年10月19日付)だ。