吹くか朝鮮旋風/女子サッカーW杯(今夏、米国)
今年6月19日から7月10日にかけて米国で開かれる第3回女子サッカー世界選手権大会(女子ワールドカップ=W杯)に共和国代表チームが出場する。世界規模の大会には初出場となるが、昨年12月にアジア大会(タイ)でも準優勝したように、その実力は折り紙付きだ。アジア大会での様子や選手らの意気込みから、W杯に向けての展望を探った。(高)
初の「世界」で上位狙う
W杯には、予選を勝ち抜いた世界の強豪、16チームが顔を揃える。そのうち、アジアの出場枠は3。共和国は1997年12月に中国で行われたアジア女子サッカー選手権で2位になり、1位の中国、3位の日本とともに、キップを手にした。
ちなみに、中国と日本は前回大会(95年、スウェーデン)にも出場しており、中国は4位、日本は8強に残った。これを尺度に推察すれば、共和国のW杯での上位進出も期待できる。
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アジア大会で見られた共和国女子のサッカーは、テクニックから戦術、身体能力にいたるまで他チームより抜きんでていたが、何よりボールに対する執着心の強さがひときわ強かった。
またFWのチン・ビョルヒとリ・クムスク、MFのキム・クムシル、DFのキム・スニのラインを中心に、チーム全体がバランス良く仕上がっていた。
中でも、チーム最年長(27歳)で司令塔のキム・クムシルは、持ち前のタフネスをおおいに発揮。日本戦でハットトリックを決めるなど大活躍した。
また同チームは、昨年10月末から11月初旬にかけて、強豪国・ドイツに遠征。国内1〜3位のクラブチームと対戦して2勝1敗というまずまずの戦果を上げている。「祖国が色々と苦しい中、自分たちは恵まれていると思う。W杯でも上位に食い込む自信はある」(MF=キム・ソンリョ)と士気も高い。
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世界の強豪が顔を揃えるW杯だが、メンバーが最も闘志を燃やしているのは「打倒中国」だ。アジア選手権とアジア大会の決勝で、ことごとく苦杯をなめさせられた共和国にとって、必ず越えねばならない相手なのだ。
共和国チームの課題を敢えて上げるとすれば、FWに貪欲さが足りないことと、ふとした一瞬を突かれるDFの弱さだ。それはアジア大会決勝でも表れ、終始押しながら、延長後半の終了間際に1点を失って敗れた。
それだけに痛恨の念も大きいが、それが「W杯では1点もやらない」(キム・スニ)と闘志をかきたててもいる。
当の中国は、96年のアトランタ五輪では米国に次いで2位。世界的にも、強豪の座を不動のものにしている。30歳を越えるベテランを揃えた強みがあるが、平均年齢で20代前半という共和国メンバーは「もうすぐ朝鮮の時代になる」と強気だ。
この夏、共和国女子サッカーは世界の強豪を相手に旋風を巻き起こせるか――。キム・クムシルは、「在日同胞がいつも応援していてくれるのは良く知っている。必ず期待に応えるから、見ていて欲しい」と話した。