南朝鮮安企部、「国会」内で政治工作
南朝鮮の「国家安全企画部」(安企部)が「国会」内の一室を拠点に、野党議員の監視や政治工作をしていたことが発覚した。この問題をめぐって与野の対立は激化しており、8日に開催が予定されていた経済聴聞会も延期される見通し。新年早々、南の政局は混乱に陥っている。(根)
内閣制阻止戦略も
問題の部屋は「国会情報委員会」の資料閲覧室である「国会」本館529号室。1994年8月、情報委発足の2ヵ月後に、当時の与党「新韓国党」(現ハンナラ党)により新設された。安企部が情報委に報告した各種の情報機密が保管され、情報委員以外の立ち入り、接近は一切禁止されている。
疑惑発覚のきっかけは、昨年12月30日、野党ハンナラ党の議員総会で李信範議員が語った「『国会』内に安企部の分室がある」という一言だった。同党議員らは翌31日夜、529号室に突入、関連文書59点を無断で持ち出し、2回にわたり公開した。
資料は、野党議員の与党への鞍替えや離党・新党結成の可能性を探った野党議員の動向記録など。現在大きな焦点となっている内閣責任制改憲問題について、「いかに改憲の公約を守らずに済ませるか」といった内容の「戦略報告書」も含まれていた。
ハンナラ党は「安企部員が資料閲覧室を政治工作の目的で使っていたのは心外だ」と述べ、与党側に謝罪を求めると共に、安企部長の李鍾賛と幹部らの解任も要求した。これに対し、国民会議と自民連の連立与党は、野党が「国会」の事務室に乱入して重要機密を奪取したことに関し、「率先して法を順守すべき法曹界出身の政治家が、自ら違法行為の先頭に立つなどもってのほか」と指摘。総裁で裁判官出身の李会昌を強く非難した。安企部は李信範議員を名誉毀損で、突入に加わった40人を秘密侵害で検察に告訴した。
「公約違反」と非難
今回の騒動については、安企部の政治介入禁止をうたう現「政権」下で発覚したものだけに、公約を自ら破るものだとして非難を浴びており、与党側には少なからぬ打撃となった。
問題の529号室には、「国会」内の一室にしては不釣合な完全防音設備や盗聴防止機能付のファクスがあり、立入禁止措置とあわせ、政治工作疑惑はかねてから指摘されてきた。「情報委の活動を支援する」ため、この部屋に安企部員が派遣されていることは周知の事実となっている。
当初、疑惑を否定していた安企部はその後の会見で、「政治圏は北の最優先の工作対象であり、国家安保上、関連情報の収拾は必須」などと述べ、疑惑を事実上認めたうえ、政治介入を正当化しようとした。安企部長は「今後は安企部が国家経営に必要な戦略情報を収拾できるようにすべきだ」として安企部法改正の方針まで打ち出している。
与野間では今も激しい非難合戦が続き、「国会」は麻痺状態に陥っている。