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みんなで祝う祖国の誕生日/在日同胞大祝典「コリアレインボーフェスティバル」


 共和国創建50周年慶祝在日同胞大祝典「コリアレインボーフェスティバル」(13日、東京朝鮮中高級学校)は、同胞ら3万5000人で大いに賑わった。真夏に逆戻りしたかのような厳しい残暑のこの日。強い陽射しが照りつける中、1世から5世まで幅広い年齢層の同胞たちは祖国の50歳の誕生日を共に祝った。

 

ステージ

迫力の大合唱、賑やかな踊り

 総勢100人による大農楽隊がチャンゴやケンガリなどを打ち鳴らしながら登場する賑やかなオープニングに続き、運動場に設置された特設ステージでは、祝賀公演が始まった。

 金剛山歌劇団、関東地方の歌舞団と朝鮮大学校、朝青、女性同盟のメンバーら300余人による迫力満点の大合唱で始まった公演は、北関東朝鮮歌舞団の黄敬楽団長と金剛山歌劇団の金明姫さんの息の合った司会で進められた。

 大合唱団の「人民共和国宣布の歌」に続き、共和国人民俳優の陳礼勲氏が「わが祖国」を熱唱。「祖国」をテーマにしたスタンダードナンバーとでも言うべき名曲に、1、2世は感慨深げ。3、4世の若い世代にとってはとても新鮮だったようだ。

 女性同盟各本部によるコーラスやチャンダンノリ、関東地方の各級学校生、朝青員らによる歌や踊りが次々と披露され、会場からはアンコールの声と惜しみない拍手が送られた。とくに都内初級部生400人による大合唱と舞踊に観客らは可愛いと大喜び。またクライマックスを飾った東京中高生とOB、歌劇団、歌舞団など200人が出演した舞踊「万豊年」も、祝賀ムードを大きく盛り上げた。

 抽選会や各種競技の表彰などを挟んで、歌劇団、歌舞団の花形歌手と西東京本部コーラスサークルによる民謡メドレーが始まると、大農楽隊が再登場。チャンダンのリズムにつられて次々とステージ前に押し寄せる観客らと共に踊りの輪が広がっていった。こうして盛り上がりが最高潮を迎える中、フェスティバルは幕を閉じた。

 シオモニ(姑)と共に踊りの輪に加わっていた趙今順さん(52、板橋区在住)は、「『ミサイル』騒動以来、周囲の日本人が冷たくなったといって寂しそうにしていたシオモニを連れてきた。シオモニはこうしたイベントに来るのは初めてだが、厳しい情勢の中でも同胞がたくさん集い、楽しく踊っている姿を見て、とても元気づけられたと喜んでいる」と話していた。

 大田商工会理事長の朴魯明さん(57)も「商工会の活動をしていても、共和国の人工衛星を日本当局が『ミサイル』と騒いだ影響があり、あまり明るい気分ではなかった。しかし、こうして集まってみると、総聯の力は大したものだと改めて感じる。情勢が複雑な『こんな時こそ』という思いも働いているのだろう。共和国創建から50年。考えて見れば、同胞たちはこれまでも困難だらけの道程をこうした底力で乗り切ってきたのだ」と語った。

 

会場で

30余の屋台と多彩のアトラクション

 会場では、関東地方の初中級生らによるサッカーリフティング競技、中級部生らのミニ綱引き、地域対抗のシルム(朝鮮相撲)も行われ、同胞、父母、生徒らは地元の出場者らに大声で声援を送っていた。とくにシルムの決勝はステージ左右に設置された大型スクリーンに写し出され、会場を大いに沸かせた。

 囲碁、朝鮮将棋、ノルティギなどを楽しめる民俗コーナーにも常に人だかりができた。また運動場の一角に設けられたヤギや羊、子牛や子馬、タヌキ、ハムスター、ウサギ、リス、ひよこなど25種類、約150頭の動物と触れ合えるミニ動物園、文化会館内で行われた「ポケットモンスター」のぬいぐるみショーは、子供たちに大人気だった。

 一方、会場のあちこちから歓声や溜め息が聞こえたのは、特賞の乗用車(トヨタRAV4)をはじめ、10万円の旅行券(8本)、テレビデオ(24本)、折りたたみ式自転車(150本)などの豪華賞品が当たる大抽選会の当選番号発表の時。特賞を当てた群馬朝鮮初中級学校の林優美教員(21)は「とても嬉しい。自宅から学校まで1時間かかるので、有効に使わせてもらいます」と満面に笑みを浮かべながら語った。

 また舞台では、11月17日に100歳の誕生日を迎える、林培賞ハルモニ(女性同盟中・杉支部)に花束が贈られた。

 会場にはフランクフルト、焼きそば、焼き鳥、お好み焼きなどの軽食、焼肉、チジミ、キムチポックムなどの朝鮮料理、カットフルーツやカキ氷などデザート、ビールや各種酒類、ジュースなど飲み物からおもちゃ類まで、バラエティー豊かな30余の屋台が設置され、終始賑わいを見せていた。猛暑だったこともあり、カキ氷や飲み物は飛ぶように売れていた。

 屋台はそれぞれ東京、西東京、埼玉、千葉、神奈川の総聯、女性同盟、朝青の各本部、支部が出店したもので、味やアイデアを競うコンテストも行われた。

 会場で地域の同胞らと楽しそうに杯を交わしていた朴圓実さん(39、東京・北青商会副会長)は「共和国創建を機に、こうしてイベントを開いてみんなが集まるのはとてもいい。こうしたイベントは、同胞どうし互いに何かを確認する場。その何かとは、在日同胞である私たちにとっての朝鮮人としての精神性、民族性だ。口では色々と言っても、こういう場をみんな求めており、組織があるからこうした場も持てる。非常に重要なことだ」と語っていた。

 盧慶明さん(23、町田市在住)は「たくさんの人が集まっているのを見ていて、朝鮮人でよかったと心から思った。これからは周囲に流されずに、朝鮮人としての自分の信念を貫き通したい。そして、1、2世の気持ちを継いでいきたい」と話していた。