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「弾道ミサイル」騒動に対する日本各界の声


 共和国の初の人工衛星打ち上げ成功に対して日本各界人士は、本紙に次のような談話を寄せ、今回の日本政府の対応を批判するとともに、日朝国交正常化交渉を早く再開すべきなどと述べた。(順不同、文責編集部)

 

反省し信頼関係構築を

深田肇/(衆議院議員)

 共和国が最高人民会議第10期第1回会議を前に人工衛星打ち上げに成功したことをまず評価したい。

 それにしても政府が米国の情報だけに基づいて情勢を判断し、日朝国交正常化交渉凍結や食糧支援の中断、朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)による軽水炉供給事業への協力見合わせなど、あわてて「制裁」措置をとったことは反省すべきだ。共和国の情報も事前に確認すべきではなかったか。共和国の情報が入らなかったのも国交交渉が中断しているからだ。

 政府はこれを反省し、国交正常化交渉を再開すべきだ。そうしてこそ、共和国との信頼関係も築ける。インド、パキスタンの核実験の際も国交があったから冷静な対処が可能だった。

 今後の日朝のあり方については、日本は戦前戦後の反省と謝罪をし、償いを行うとともに、日朝間の関係正常化と国交樹立のために、両国間の交渉を再開すべきだ。

 

軽率だった日本の行動

鎌倉孝夫/(埼玉大学教授)

 日本の政府やマスコミが騒いでいた共和国のミサイルと言っていたものが、実はそうではなく、人工衛星であることが判明した。

 しかし日本の国会では、これをミサイルだと決め付け共和国に対する抗議決議まで採択した。これは正確な事実確認もせず、米軍の情報を信じ、共和国の正式発表も聞かずに取った日本の軽率な行動である。

 また日本政府は、昨年8月に共和国政府と前提条件なしの再開を合意していた日朝国交正常化交渉の見合わせまで決定した。

 日本がこれらの行動を取った根底には、深く根付いた朝鮮に対する蔑視観が要因と見られる。

 

過剰反応の根底に敵視

吉田康彦/(埼玉大学教授、元IAEA広報部長)

 事故防止のため周辺諸国に事前通告をするか、もう少し早く発表があってもよかったと思うが、それにしても、日本側の感情的でヒステリックな反応については、共和国の主張に同感する部分も多い。過剰反応の根底には、間違いなく共和国敵視と民族蔑視がある。

 こうした感情的な態度を慎み、もっと冷静になるべきだろう。そして、共和国を国際社会の一員として扱い、問題は外交的に解決すべきだ。そのためにも国交正常化交渉の推進は不可欠だ。チャーター便キャンセルや人道的な食糧支援のストップなどの報復行為はむしろ逆効果だ。今回のような感情的な対立にならないためにも意思疎通のパイプが必要であり、隣人として風通しをよくし、地道な信頼醸成を重ねていくことが大切だ。

 

政府は国民感情煽るな

北川広和/(「日韓資料」編集長)

 一連の「弾道ミサイル騒動」の第一印象としては、「核疑惑」の時と同じ構図だと感じだ。

 人工衛星だという共和国の報道は信用できるし、どこの国でもやっている。日本は共和国に関してはとても敏感に反応する。ことさら、軍事的な問題に結び付け、国民感情を煽る。今回、日本に通報すべきだというなら、共和国との正常なパイプをつくるために努力すべきだ。そうした共和国との交渉には背を向け、軍事的な対立関係を強めるのは得策ではない。

 日本は、最近も共和国を敵に想定した新ガイドラインを策定し刺激した。これまでも日米「韓」の軍事的同盟関係は、常に共和国に脅威を与えてきた。日本は、こうしたことを無視して、共和国の脅威を煽り、国内向けの有事立法などの話を進めることを慎むべきだ。