ここが知りたいQ&A/最高人民会議第10期第1回会議が開かれるが
名実ともに金正日時代/党、国家、軍の最高首位に
Q 共和国最高人民会議第10期第1回会議が開かれるが。
A 最高人民会議常設会議の19日の決定によると、会議は9月5日に平壌で招集される。共和国では7月26日に第10期代議員選挙が行われ、第666号選挙区で金正日総書記が推戴されたほか687人の代議員が決まっており、この中には総聯中央の韓徳銖議長をはじめ7人の在日同胞も含まれている。
第9期の選挙は90年4月22日に行われ、第1回会議は同年5月24日に開かれた。最高人民会議の任期は5年。約8年ぶりに選挙が行われたわけだが、「やむをえない事情で選挙が実施できないときは、選挙を実施するときまでその任期を延長する」(社会主義憲法第90条)と規定されており、問題はない。金日成主席の逝去・服喪という事情があったためだ。
Q 会議ではどのような議題が討議、決定されるのか。
A 前3期(7〜9期)を見ると、@国家主席選挙 A国家指導機関選挙 B前年の国家予算執行決算と同年の国家予算――について審議している(8期のみ第7期第5回会議で審議済みだったため Bは審議されず)。またいずれも第1回会議の前に必ず党中央委員会総会が開かれ、最高人民会議に提出する内外政策などを立案、策定している。「朝鮮民主主義人民共和国は、すべての活動を朝鮮労働党の指導のもとにおこなう」(社会主義憲法第11条)と規定されており、自然な流れと言える。
Q 議題でとくに注目されるのは。
A 何と言っても国家主席の推戴だ。前3期を見ても第1回会議で金日成主席が推戴されていた。共和国のメディアは、「9月の国慶節行事は金日成主席とまったく同じである偉大な金正日同志を領導者として戴く朝鮮人民の誇りを誇示する大祝典になる」(6月23日発朝鮮中央通信)、「朝鮮人民は偉大な金正日将軍を党と軍隊だけでなく国家の最高首班に戴く熱望で胸が高まっている」(労働新聞7月1日付)などと指摘している。
またタス通信によると、朴宜春駐ロシア大使は代議員選挙直後の7月28日、第1回会議で総書記が国家主席に推戴される予定だと言明した(モスクワ7月29日発=共同)。
朝鮮中央通信によると、ロシア、モンゴル、タンザニアなど各国でも総書記の国家主席推戴支持歓迎委員会が組織されているが、これらが共和国創建50周年慶祝準備委員会結成とあいまった動きであることが注目される。総書記を国家主席に推戴することで、建国50周年を輝かせようとの動きと見てとれるからだ。ロシア平和・統一党中央評議会のサジ・ウマラトバ議長は朝鮮中央通信社記者に、「朝鮮人民が金正日総書記を共和国の最高首位に推戴して創建50周年を最も意義深く記念することを確信する」と語っている。
Q 国家主席推戴の意義は。
A 名実ともに金正日時代が始まる。現在の総書記の肩書きは朝鮮労働党総書記、共和国国防委員会委員長、朝鮮人民軍最高司令官。つまり党と軍の最高指導者の肩書きはあり、残るは国家だけ。今回の会議で「国家の最高首班」(社会主義憲法第105条)である国家主席に推戴されれば、総書記は党、国家、軍の最高首位に就くことになる。