ここが知りたいQ&A/米外交評議会が対北制裁緩和を政府に提言したが
米政府の政策立案に影響力/国務省関係者や前南朝鮮大使らが参加
Q 米・外交評議会が5月、共和国に対する経済制裁緩和に向けてのロードマップを発表し、米政府に提言したというが。
A 「朝鮮半島の変化に向けて」と題する政策報告書の中で言及した。
ケース・バイ・ケースという前提条件を付けてはいるものの、政府、民間を問わず対北経済制裁緩和のロードマップを示したのは米国では初めてである。
ロードマップは @米国による制裁の大部分は敵性国貿易法が及ぶもの Aテロリズムと移民に関する法律が及ぶもの B非拡散法に関する輸出統制が及ぶものの3つに分けられると指摘。
そして規制緩和の内容として、共和国が食糧を確保するための鉱物取引、農業援助、鉱物輸出を拡大させるための採掘機械に関する敵性国貿易法のケース・バイ・ケースによる例外措置の追加、南朝鮮企業との合弁事業への特恵措置を含む米国からの個人セクターによる対北投資に関する同法のケース・バイ・ケースによる例外措置、世界銀行経済開発研究所や米国の大学などでの共和国政府高官の育成を含むIMF(国際通貨基金)、世界銀行、アジア開発銀行への共和国の加入支援――を上げている。
Q 外交評議会とはどのような機関なのか。
A 米政府の内外政策立案に大きな影響力を持つ民間のシンクタンクだ。同評議会の提案はこれまでも、その後の政府政策に多数反映されている。
レポート作成には、カート・キャンベル、ロバート・カリン、トーマス・ハバード、チャールズ・カートマン、ジョン・メリル、マーク・ミントンなどの国務省関係者をはじめ、アジア・朝鮮半島問題専門家ら37人で構成された独立作業部会メンバーが参加。共同議長はモートン・I・アブラモウィッツと、前南朝鮮大使のジェイムス・T・レイニーが務め、プロジェクト・ディレクターはマイケル・J・グリーン。
とくに対北制裁緩和問題については、消極的意見が多数を占める議会の説得が政府の課題とされているだけに、議会の動向にも影響を与えることになろう。
Q なぜ対北制裁緩和問題が提起されるのか。
A 朝米基本合意文(94年10月調印)で双方は、「調印後3ヵ月以内に、通信サービスと金融決済に対する制限措置などの解消を含めた貿易と投資の障壁を緩和する」ことを約束したからだ。
共和国は合意に沿って95年1月、米国に対する一切の経済障壁を緩和した。しかし米国は一部を緩和したにすぎない。
米国は同月、@電話、通信の連結とそれに伴う取引、個人の旅行、それに伴うクレジットカード使用、旅行関連の取引、マスコミの支局開設の許可 A米国を起点、または最終点としない金融取引の米国銀行の使用許可。共和国政府の資産ではない凍結資産の解除 B米企業で耐火物資として使われるマグネサイトの輸入 C基本合意文履行のための措置(連絡事務所設置・運営、軽水炉建設に関する取引の許可)――を講じた。
96年4月には、@人道的支援のための国連および国際赤十字への基金供与と関連したすべての取引許可 A米管轄下の個人による第3国から北への人間の基本的必需品供与に関わるすべての取引許可――を講じたにすぎない。