第8回東北アジア経済フォーラム米子会議
「第8回東北アジア経済フォーラム米子会議―多国間協力により平和と繁栄を」が7月28〜30日、鳥取県米子市の米子コンベンションセンターで行われた。鳥取県、米子市、境港市、米国立東西センターなどが主催した同フォーラムには、朝鮮対外経済協力推進委員会(対経協)の林太徳委員長代理を団長とする共和国代表団をはじめ、中国、ロシア、モンゴル、南朝鮮、日本、米国の代表らと政治家、各国際機関の専門家と関係者らが参加し、東北アジア経済圏を確立するための具体的対策を討議した。
経済圏確立の対策討議/他国間協力でインフラ完備を
開幕式であいさつした林太徳委員長代理は、羅津―先鋒経済貿易地帯開発を通じて東北アジア地域での経済協力と交流の拡大に尽くしていくという共和国の立場は確固としたものだと指摘した。
今回のフォーラムでは、国連開発計画(UNDP)の調整のもとで進められている豆満江地域開発計画を中心にした東北アジアでの地域的協力と交流を拡大していくための多数の案件を討議し、第1会議「東北アジアの開発と金融」、第2会議「国際物流と交通ネットワーク」、第3会議「エネルギーと環境」、第4会議「自然災害における危機管理」、第5会議「図們江地域と東北アジアの開発」に分かれて行われた。
発言者らは、同地域の経済発展のためには豆満江地域開発計画のように多国間協力を推進し、同地域のインフラを完備させることが最も重要な課題の一つであることを強調。そして、そのための多国間による資金動員協力体制の確立が必要であることで意見一致を見て、地域金融開発基金などの創設問題が論議された。
林委員長代理は第5会議で「豆満江地域開発協力問題について」と題する報告を行った。(要旨別項)
フォーラム後、UNDP主催の豆満江投資促進会議が行われ、対経協の孟鉄虎課長が、日本の投資家を対象に羅津―先鋒地帯で有利な投資環境を整えるための共和国の政策と地帯開発の現況について説明した。
ING(オランダ国際)東北アジア銀行ケース・チディ総裁に聞く
今後も外国企業を支援/工業投資、貿易成長に展望
平壌に事務所を置いているING(オランダ国際)東北アジア銀行のケース・チディ総裁に、業務内容などについて話を聞いた。(文責編集部)
Q 共和国での主な業務は。
A 共和国企業の輸出入を支援することに重点を置いている。共和国製品の買い手を探し、また海外から共和国に製品を売り込む企業に資金提供も行っている。
銀行業務そのものについて言えば、外国為替や貿易関連業務、顧客の紹介などを行っている。
Q 主な顧客は。
A 共和国との間で設立された外国企業、国際企業の合弁会社で、中国、シンガポール、香港、英国の企業などだ。また在日朝鮮人の企業家らによる合弁企業も含まれる。それに人道支援を目的とした米国の団体も、米政府の許可を得て活動している。
Q INGはなぜ平壌に事務所を設置することを決めたのか。
A 共和国は地理的に見ても東北アジアの興味深い所に位置し、工業投資や貿易の成長において長期的な展望があると認識しているからだ。
Q 共和国に投資する魅力は。
A 日本や中国などアジアの銀行が、共和国は「ビジネスをするのにとてもいい場所」ということを認識していないのが不思議に思える。共和国は大きな可能性を秘めており、潜在力は大きいと信じている。
共和国は最近、元山や南浦を貿易港として投資を呼びかけたが、これは成功するだろう。ここは輸出加工地域になると思うが、それが成功すれば、外国企業がこれらの地域で発展するよう貢献したい。
共和国でビジネスを行うことはリスクが大きいという声も聞こえるが、最近のアジア経済事情を見ても分かるように、日本や「韓国」の方がリスクが大きいと思う。われわれにとって共和国で業務をする際に伴うリスクなどは取るに足らない。アムステルダムに本部を置くINGが独自に共和国の現状と可能性を調査している。共和国が発展するということは疑いないことだ。
現在、羅津―先鋒地帯に進出している2つの欧州企業の投資を支援している。また羅津にある黄金の三角州銀行とも関係を持っている。
われわれは共和国の銀行が扱えない、または扱いにくい商品に重点を置いていくつもりだ。
「豆満江地域開発協力問題について」
朝鮮対外経済協力推進委員会 林太徳委員長代理の報告(要旨)
朝鮮対外経済協力推進委員会の林太徳委員長代理が行った「豆満江地域開発協力問題について」と題する報告要旨は次のとおり。(中見出しは編集部)
中継貨物輸送地に
1990年に入り、東北アジア地域の諸国間での経済協力と交流が拡大、発展していく動きが活発になる中、共和国もこれに寄与する実践的措置として、豆満江地域開発計画の一環である羅津―先鋒経済貿易地帯開発を推し進めてきた。
92年から始まった同地帯開発は、われわれが初めて試みる事業で、自己投資だけではなく、主に外国の協力と投資に依拠して行う事業である。同地帯に該当する法と規定を制定、公布し、あらゆる特恵措置などを講じた。こうした特恵措置は法的に徹底的に保証されている。
同地帯開発事業は、中継貨物輸送のための地域的要衝地につくることを基本に置きながら、同時に、軽工業と電子工業、食料工業など各分野の輸出加工基地、サービス基地としての面目を備えた、世界的な経済貿易地帯にする膨大で長期的な事業である。
通信、交通の整備
現在、地帯開発事業で提起される一次的な問題は、通信、交通、動力をはじめインフラを完備することだ。
通信部門では、タイ・ロックスレー社の投資を受けて通信開発事業の一段階対象が終わり、投資家は国際、国内通信サービスが支障を受けることなく保証されるようになった。近く地帯通信センター建設にも着手する。
また、香港のある会社の投資により、羅津から中国との国境通過地点である元汀橋までの道路工事が基本的に終り、舗装のための準備を急いでいる。羅津から中国との鉄道通過地点である南陽までの鉄道工事は、中国のある会社を通じて投資を受けるための契約討議を行っている。
羅津―延吉、羅津―ウラジオストック間のヘリコプター輸送を9月から開始するための事業も積極的に推進している。
地帯への外国人の出入りが増えるにつれ、地帯内にホテルを新たに建設、さらにすでにあるホテルを改築した結果、約700余ベッドの宿泊能力を有した。香港エンペラーグループが投資して建てる「5つ星」ホテルの1段階対象は現在、建築工事が本格的に行われており、来年上半期までに完工する予定だ。
また、電力問題を解決するために台湾、オランダの会社との発電所建設のための投資問題を協議しており、今年中には契約を結びたい。
資金協力体制樹立を
今、インフラを整備するための資金をどのように解決するかという問題が、最も重要な問題として残っている。
豆満江地域開発においてインフラを完備しないかぎり、いかに国境通過手続きを簡単にし、投資促進のための法的、制度的装置を十分に備えても、豆満江地域を東北アジア開発のための中継輸送の拠点、主要製造産業の基地、観光サービス基地としてつくらなければ、豆満江地域開発事業が所期の成果を収めることができない。
豆満江地域のインフラ開発問題は、政府間による協議委員会の前身である国連開発計画主導の、豆満江地域開発計画の計画管理委員会の時から深刻に論議されてきた。
昨年の協議委員会と調整委員会第3回会議では、豆満江地域開発基金を創設することを現実性ある案として、そのための実務的準備と研究を具体化することにした。インフラ開発資金のような大規模の資金源泉は、相対的に制限されており、一般的に国家的投資と主要援助国による借款と貸付、国際金融機関と開発銀行などの融資が基本になっている。
豆満江地域開発計画は、東北アジア経済フォーラムが以前から重要視して論議してきた対象である。したがってフォーラムがこの地域開発により多くの協力と連携を保証することは、フォーラムが事業をより実践に接近させるうえで有益なものとなろう。われわれはフォーラムが、豆満江地域開発計画において最も緊急な問題であるインフラ開発資金問題と関連して、有益な協力を行うと見なす。
このような相互連携と協力のために協議委員会と同フォーラム間で可能ならば、一定機関との連携を結ぶこともよいと見る。