共和国支援チャリティーコンサート/埼玉北部朝・日女性のアリラン会が主催
日朝友好親善第5回公演「北朝鮮に食糧を送ろう!チャリティーコンサート」が7月25日、埼玉県熊谷市内で開かれ、同胞、日本市民ら約250人が観覧した。女性同盟埼玉県北部支部管下に居住する朝・日女性らの親睦団体、アリラン会が主催したもの。「1人1合の支援米を」との主催者の呼びかけに応え、支援米、支援金を持参する観客も多かった。会ではこれらの支援とコンサートの収益を合わせて支援米を購入し、年内に共和国に送る予定だ。(順)
バラエティー豊かに
アリラン会の石橋咲子副会長(熊谷市議)のあいさつで開幕したコンサートは、2部構成で行われた。
第1部では、北関東朝鮮歌舞団の舞踊、元金剛山歌劇団歌手の李昌民氏の朝鮮民謡と日本の歌、フォークグループ、JASTISの歌と演奏、若代寛志氏の尺八をはじめ様々な笛の演奏など、朝・日の出演者によるバラエティー豊かな演目が披露された。とくに「アリラン」、「リムジンガン」、「赤とんぼ」など、広く知られる朝・日の歌曲をメドレーで綴った、江藤善章氏(大宮市立北高校教員)のパンフルート演奏では、思わず口ずさむ観客もいるなど盛り上がりを見せた。
第2部は、幅広く活躍中のチェリスト須田税氏、二胡(中国の民族楽器)の馬高彦氏、歌手の吉武まつ子氏が共演するジョイントコンサートの形で行われた。
二胡とチェロの透明感溢れる音色は観客を魅了。とくに吉武氏の歌う叙情溢れる朝鮮歌曲「ポンソンファ(鳳仙花)」に、客席はシーンと静まり返っていた。
終演後も拍手が鳴り止まず、終始、ステージと客席がひとつになっていたコンサート。観客の加藤陽子さんは「隣国の子供たちが食糧難で苦しんでいるのに、米が余っている日本がただじっとしていてはいけない。1人でも多くの人が支援の手を差し延べなくては。そういった意味で、今日のようなチャリティーコンサートの意義は大きい。内容もとてもよかった」と感想を述べていた。
すべて「手作り」で
アリラン会は、同じ地域に住む仲間として日本人と在日同胞が互いに理解し合うために、まず女性同士が手をつなぎ合おうと、91年7月に結成された。朝鮮料理の講習会や学習会、埼玉朝鮮初中との交流など活発に活動しながら、5年前からは年に1回、様々なスタイルで日朝友好親善公演を開いてきた。
共和国では、数年相次いだ自然災害により長期にわたる食糧難が続いている。昨年夏、直接支援物資を届けてきた女性同盟役員の報告を聞くなど、この問題に関心を高めていた同会では、「私たちにできることは何か。1人1人が力を合わせることによって何かができるのではないか」と、5回目を迎える今年の公演を共和国支援チャリティーとして企画することになった。
支出を極力抑えてチャリティーにまわす収益を少しでも増やすため、地域経済人の協力を受けながらも、チケットやプログラムの作成、当日の機材搬入、会場整備など、可能な限りあらゆる準備を役員自らが担当。文字どおり「手作りコンサート」となった。
女性同盟北部支部の黄順南委員長は「今回のように日本人の観客がたくさん訪れたのは初めてだ。アリラン会の活動が着実に輪を広げていることを感じる。朝・日友好を深めるため、日本の人たちにもっと朝鮮を知ってもらいたい。共和国支援の活動はもちろん、日本社会に根強い民族差別をなくしていくためにも、アリラン会の活動を盛り上げていきたい」と話していた。