平壌から本社記者ルポ/祝賀ムード一色
【平壌発=本社記者柳成根】共和国の最高主権機関である最高人民会議の第10期代議員選挙が行われた26日、各地の選挙会場には朝早くから大勢の有権者が投票に訪れ、各選挙区を代表する代議員候補に一票を投じた。選挙会場前では歌と踊りの輪が広がり8年ぶりの代議員選挙を迎えた喜びにあふれていた。
代議員選挙には、労働者や協同農場員、軍人、知識人など共和国の17歳以上のすべての公民が参加でき、一般的・平等的・直接的な原則により、秘密投票の方法で自由かつ公平に実施される。
1990年4月の第9期選挙以来、約8年ぶりに実施された今回の第10期代議員選挙は、金正日朝鮮労働党総書記の推戴後初めて行われる選挙であり、共和国創建50周年(9月9日)という記念すべき年に行われる。相次ぐ自然災害により一時的な難関を経ながらも、全人民が総書記の周りに団結し、一丸となって社会主義強行軍を繰り広げている共和国にとって、まさに国を挙げての一大慶事と言える。共和国各地では選挙当日が近付くにつれ慶祝ムードが一層盛り上がり平壌市内の至る所に「選挙慶祝」の看板や、投票に行くよう呼びかけるスローガンが掲げられた。
青春街の一角では、万寿台芸術団が小公演を行っていた。響き渡る歌声に耳を傾け、体も自然に動く。そこから200メートルも離れていないところでは、また別のブラスバンドが演奏を行っており、市内全体が選挙を意義深く迎えようという雰囲気にあふれていた。
選挙日の26日、平壌市普通江区域第33号選挙区6分区を訪ねた。
同分区の選挙会場は、普通江沿いに位置する平壌第一高等中学校。代議員候補は朴正順・普通江区域行政経済委員長(45)だ。
地元の人々のほか、祖国滞在中の在日同胞が同校と金成柱人民学校の2ヵ所でそれぞれ投票することになっており、同校には総聯中央の呉亨鎮副議長を団長とする総聯活動家代表団、朝鮮大学校経営学部と九州朝鮮高級学校の祖国訪問団、総聯地方朝鮮歌舞団の代表団などが訪れた。
朝8時過ぎに校門をくぐると、運動場には200人近くの人がいた。
校内の至る所に「選挙慶祝」の文字が踊り、「選挙場」の看板を掲げた入口や、その脇に張り出された代議員候補者・有権者名簿の前にも、9時の投票開始を今や遅しと待ち構える人々が列をなし、選挙の雰囲気は否応なく高まった。女性は老若を問わず、カラフルなチマチョゴリ姿が目に付く。親子連れや若者も多く見られた。校舎の前ではブラスバンドが小公演の準備に余念がない。運動場では待ち切れない人々が輪を成して踊り始めた。
朝9時。ブラスバンドが演奏を始めると、人々の目は一斉に校舎の前に作られた特設舞台に向いた。朝鮮歌舞団代表団が小公演を披露すると、大きな拍手と歓声が上がった。投票開始を告げるアナウンスが鳴り響き、投票が始まると、選挙場入口には一層長い列ができた。
記者も一足早く投票を済ませた。選挙会場では、1人1人に「選挙票」と書かれた投票用紙が配られる。用紙を受け取って投票所に入り、中に設置された投票箱に用紙を投じる。投票所はカーテンで仕切られており、1人1人中に入るため、外からはまったく見えないようになっている。
1時間もすると、踊りの輪もより大きくなった。チャンゴ(杖鼓)を抱え、ケンガリ(鐘)を手にした人たちが輪の中心に入り、場のノリを高める。平壌ではこの日、夕方遅くまで人々の歓声と踊りの輪が絶えることはなかった。