伊藤孝司氏の取材報告会/共和国を訪れ元「慰安婦」被害者ら21人を取材
「いま朝鮮民主主義人民共和国の『慰安婦』、強制連行労働被害者は」(主催=朝鮮人強制連行真相調査団)と題する、フォトジャーナリストの伊藤孝司氏の取材報告会が18日、東京・飯田橋のシニアワーク東京で行われた。
伊藤氏は今年5月に約3週間、共和国を訪れ元軍属、被爆者、元「慰安婦」、強制連行などの被害者ら21人を取材し、その証言内容がスライドで紹介された。
伊藤氏は報告の中で初めてマスコミに会うという元「慰安婦」の庚善玉さん(75)について「お腹にお臍の上から下まで大きな傷跡があったが、慰安婦をさせられて妊娠したため子宮ごと取られた跡だった。彼女は今まで復讐することばかり考えていた。あの時の兵隊を見たら殺してやりたいと思うと言いながら、日本人の顔など見たくもないという表情をした」と話した。
また、伊藤氏は他の元「慰安婦」らの肉体にはいまだ消えない傷跡が残っており、ほとんどが結婚できなかった、子供を産めなかった、人生をめちゃめちゃにされたなどの証言を聞いた。
さらに今回、咸鏡北道清津市に「銀月楼」、「豊海楼」という名の2棟の慰安所と、性病検診所があったことを確認し、慰安所から脱走した「慰安婦」が拷問で殺され、捨てられていたのを住民が埋葬し墓を立てた、という証言とそれらの写真も入手した。
現在共和国で名乗り出ている元「慰安婦」の数は216人だが、伊藤氏が今回話を聞いたのは最も被害例が酷い人たちだったと述べながら「慰安婦問題は、日本がアジアで何をしたかを端的に表す問題であり、取材を通して深く考えさせられた」と語った。