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南朝鮮「国籍法」改定と在日同胞への影響―任京河C

問題点(下)/国籍継承に困難もたらす


 (4)二重国籍者に厳しい国籍選択義務

 「改定法」が導入した2重国籍者の国籍選択義務規定に対し、民団系同胞の間で非難が集中している。国籍選択要件が非常に厳しいためだ。例えば、日本の国籍法では2重国籍者が日本国籍を選択するには、外国の国籍を離脱するか、日本の国籍を選択する宣言をするかのいずれかでよいと規定されている。これに対し「改定法」は、外国国籍の放棄(離脱)と法務部長官への選択申告という2つの義務を課している。さらにこの2つの義務を一定の期限までに果たさなければ、南朝鮮「国籍」を自動的に喪失することになる。

 日本人との結婚が増えている在日同胞社会の現状を考えると、「改定法」によって同胞子女の間で2重国籍者が増加するのは間違いないと言っていい。では、果たして彼らが日本国籍を離脱してまで南朝鮮「国籍」を取得するだろうか。国籍選択要件の厳しい「改定法」の規定が、彼らをして日本国籍を選択させる遠因となる可能性は大きい。

 

 (5)法務部長官に対する申告義務

 「改定法」は、2重国籍者の国籍選択の際、法務部長官への申告を義務化した。6月5日に公布された「国籍法施行令」第25条は、外国に住所を置く者の申告および申請は、住所地管轄在外公館の長に申告書または申請書を提出できるとしている。したがって、在日同胞の場合は駐日南朝鮮領事館で手続きすることになる。

 ここで注意すべきなのは、この規定に対する日本法務省の態度である。「旧法」には、「改定法」のような国籍選択制度がなかったため、法務省は役所の窓口業務だけで日本国籍離脱を認めてきた。万が一、法務省が外国人登録上の「韓国国籍」者だけでなく「朝鮮国籍」者にも、日本国籍離脱手続きをする際に、上記の手続きを踏むよう求めてきた場合、われわれは、少なくとも従来どおりの方法で日本国籍離脱を認めるよう断固として主張する必要がある。

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 以上見たように、「改定南朝鮮国籍法」は、在日同胞が現在保有している自己の国籍を代を継いで維持していくうえで困難をもたらす。とくに、増加傾向にある2重国籍者を排除する「棄民立法」だと言える。

 またわれわれが注意すべきなのは、日本法務省が今後、在日朝鮮人と関連するすべての国籍行政をこの「改定法」に基づいて行っていくという点である。日本と南朝鮮当局が「改定法」を奇貨として、共和国と在日同胞を切り離すための新たな術策を講ずる恐れを危惧せずにはいられない。

 在日同胞が主体性と民族性を守り、共和国公民権を核とする諸民族的権利を守るためには、1日も早く共和国国籍法の実効性を保障する道が開かれなくてはならない。(イム・ギョンハ=朝鮮大学校専任講師・民法、国際私法、おわり)