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女性同盟神奈川・川崎、神港、西横支部クラブ合同の「チャンゴと踊りの発表会」


民族のリズム楽しむ/オモニたちに笑顔溢れ

 女性同盟神奈川・川崎、神港、西横支部の各チャンゴクラブ合同の「チャンゴと踊りの発表会」が12日、横浜市港北区の港北公会堂で行われ、地域同胞ら250余人が観賞した。各クラブに参加しているオモニたちの間から、練習の成果を是非一度発表してみたいという声が高まったことから発表会は企画された。途中、ゲストや講師、子供たちの歌や踊りも交えながら進められた舞台は、民族のリズムを楽しむオモニたちの生き生きとした笑顔で溢れていた。(東)

 

「貫禄」と努力の跡を

 発表会は、昨年3月に結成された川崎チャンゴクラブ・初級クラスのオモニら10人による「5面太鼓とチャンゴ」でスタートした。講師を含む7人のオモニたちが座ってチャンゴを打つ後ろで元歌舞団の若いオモニ3人が立って舞いながら5面太鼓を打つ、視覚的にも華やかな演目。昨年11月に開かれた同胞中央芸術コンクールで金賞を受賞した作品だ。

 次は西横浜、神港の5人のオモニによる民俗舞踊「黎明」。2枚重ねになったチマを巧みにあやつる難しい演目とあって、発表会を前に週2回の練習をこなしてきたという。

 「週1回練習を重ねてきた44歳から62歳までのオモニたちの貫禄ある姿と努力の跡を見てほしい」(司会者)と紹介された「トンドックンとフィモリ」には、川崎チャンゴクラブのオモニたち8人が出演した。

 「トンドックン」、「フィモリ」ともに伝統的なチャンダン(リズム)の呼び名。リズムそれ自体を聞かせるシンプルかつ楽しい演目だ。1人1人に割り振られたソロの部分で、緊張した面持ちで日頃の練習成果を披露するオモニたちに、観客は温かい拍手を送っていた。

 

朝鮮の「味」自然に

 川崎朝鮮初級学校舞踊部による「鈴の踊り」、神港、川崎両チャンゴクラブの講師を務める金春江さん(元東京歌舞団、神港支部在住)の独舞「扇の舞」を挟み、西横浜支部チャンゴクラブによる「チギ(打棒)」が披露された。同クラブは昨年11月に結成されたばかりとあって、基本的な打法を披露する演目を選んだ。

 5人の出演者がそれぞれ違った5色のチマ・チョゴリを身にまとってチャンゴを打つ。照明を落とし、「動」よりも「静」を際立たせた演出が粋だった。

 今回の舞台監督を務めた同胞歌手、張裕幸さんのゲスト出演に続くトリは、94年9月に結成された神港チャンゴクラブによる「ソルチャンゴ」。「ソル」は「立つ」という意味で、立って動きながらチャンゴを打つ作品である。高い技術が求められるが、オモニたちの希望でこの難しい演目にチャレンジすることになったという。

 7人が舞台狭しと練り歩きながら笑顔でチャンゴを打つ姿はプロ顔負け。さすがに4年間、週1回の練習を重ねてきただけのことはあると観衆の喝采を浴びていた。

 オモニたちの間から発表会開催の話が持ち上がったのは約1年前。会場の予約が取れた半年前から各クラブごとに本格的な練習が始まった。2クラブで講師を務める金春江さんによると、当初はごく簡単な発表会のつもりが、オモニたちの熱意によって、本格的な公演のスタイルに発展していったという。

 「出演したオモニたちの間にもそれぞれキャリアの差はあるが、発表の場を通じて各段階ごとの成果を出し、新たな目標もできたと思う。チャンゴの魅力は、朝鮮人としての『味』、民族の感性が自然に育まれること。毎日家事や子育てで忙しいオモニたちも、チャンゴを通じて精神的なゆとりを得ていると思う。発表会を機に、『民族』を楽しむチャンゴクラブが増えていけばうれしい」

 

出演者のひとこと

すっかり虜に/神港・朴洙玉さん(52)

 「ボケ防止」にと軽い気持ちで始めたのに、4年も続いて嬉しい。どっちが右でどっちが左かも分からなかったのに、今ではすっかりチャンゴの虜になり、難しい「ソルチャンゴ」に出られるまでになるなんて、嘘のようだ。

 今日の舞台も、総聯組織がバックアップしてくれたからできたこと。私たちが集まって練習することができるのも、組織があるからではないだろうか。

 これからもこつこつ練習し、もっとレベルを高めて再び舞台を踏みたいと思う。

 

いい刺激になった/西横浜・金民愛さん(55)

 チャンゴを始めてまだ3ヵ月ほど。女性同盟支部にクラブができ、家にチャンゴがあったのでやってみようと参加した。若いトンムたちの足は引っ張るまいと必死に練習した。小さい子供を抱えながらも一生懸命練習する若いトンムたちを見ていると昔を思い出す。

 今日はとてもドキドキしたけど、楽しかった。西横浜は結成して一番日の浅いクラブなので、今日は他の支部の演奏を見てとても刺激になった。「ソルチャンゴ」には、いつかきっとチャレンジしてみたい。

 

民族音楽大好き/川崎・許芳子さん(50)

 民族音楽が大好きで、若い頃からずっとやりたいと思い続けていたチャンゴ。念願かなって習い始め、1年4ヵ月が過ぎた。

 この間、何度かやめようと思うこともあったが、やはり好きな気持ちが強くてやめられなかった。

 この発表会のために、実質的に練習したのは半年くらい。最初は軽い気持ちだったのに、どんどん大がかりになってしまって…。失敗も愛嬌のうち、温かく見守ってくれればと思い舞台に上がったが、本当に出てよかったと思う。