和解、平和、統一/朝鮮半島情勢を読む(3)朝米関係改善
制裁解除がバロメーター/基本合意文の履行を
朝米は、双方の政治・経済の正常化へのプロセスを明記した基本合意文(94年10月)によって、う余曲折を経ながらも、頻繁な協議を通じて、双方の関係を着実に前進させてきた。しかし基本合意文履行において今、一番ネックになっているのは米国による対北経済制裁の全面解除である。
資産凍結解除を示唆
合意文では、調印後3ヵ月以内に、通信サービスと金融決済に対する制限措置の撤廃を含めた貿易と投資の障壁を緩和することになっている。
共和国は合意に沿って95年1月、米国に対する一切の経済障壁を撤廃した。しかし米国は一部を緩和したにすぎない。
制裁緩和問題について米財務省外国資産監理局は、在米共和国資産内容の調査に昨年12月末に着手したが、いつ凍結が解除されるのかどうか、詳細は明らかにされていない。しかし米国がベトナムと関係を正常化した過程を見れば、この資産凍結解除がシグナルとなったことから、今後が注目される。
こうした中で、米政府や議会に影響力の強い米経済戦略研究所が6月17日、政策報告書を発表し、朝米基本合意文に基づき朝鮮戦争以来続く共和国に対する経済制裁の解除を推し進め、貿易と投資を促進させることを米政府に強く促したことは注目される。
朝米基本合意文の順守、経済制裁の全面解除は、今後の朝米関係の進展具合を計るバロメーターとなろう。
ミサイル協議再開へ
一方、朝鮮半島の軍事問題を討議するチャンネルは、4者会談や板門店での将官級会談、共和国での米兵遺骨共同発掘作業など多様化しているが、最近になってミサイル協議問題にも関心が高まってきた。
朝米ミサイル協議はこれまで96年4月にベルリンで、97年6月にニューヨークでそれぞれ行われたが、具体的な成果はなかった。同年8月27日にもニューヨークで3回目の協議が行われる予定だったが、張承吉・駐エジプト元大使の米国亡命と関連し、延期。今年3月13日のベルリン会談で朝米は、ミサイル協議の再開で合意した。
そして6月16日発朝鮮中央通信は、共和国のミサイル問題で論評を発表し、開発、配備、輸出問題についての立場を明確にした。
論評は、ミサイル問題は朝鮮人民の自主権、生存権に関する問題であるとしながら、ミサイルの開発・輸出中止問題は、朝米間に平和協定が締結され、共和国に対する米国の軍事的脅威が完全に除去された後に上程、討議される問題であると強調した。さらに米国が真にミサイル輸出を阻止したければ、1日も早く経済制裁を解除し、その経済的補償を行うべきだと主張した。
朝米は核問題をきっかけに基本合意文調印へと進んだ。ミサイル協議の進展は、経済制裁解除を促す要素になろうとしている。全面解除が実現すれば、朝米の関係改善も大きく進むだろう。(基)