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本の紹介/朝鮮半島の農法と農民 高橋昇著


 本書は解放前の朝鮮半島全域にわたる農業と農民の生活を実態調査し詳細に記録した資料集である。

 著者の高橋昇氏(故人)は福岡県出身の農業技師。1918年に東大農学部を卒業し、翌年から朝鮮が解放される45年までの26年間、「謙虚に朝鮮の農家から学ぶ」をモットーに研究を重ねた。

 高橋氏が朝中国境地帯の咸鏡北道から最南端の済州島に至るまでまさに朝鮮全域の200余の農家をくまなく訪れ、当時の営農実態を調査して得た研究結果が収められている。

 本書は[T]総論、[U]営農実態調査、[V]農民生活調査からなり、とくに中心をなすのは作付方式の研究だ。「本書に収録されている『朝鮮主要農作物の作付方式と土地利用』こそ、高橋氏の代表作と言えるものであり、その膨大な営農実態調査の主要な内容をなすのも、朝鮮の各地、各農家で行われている作付方式に関する調査であった」(解説より)。

 当時の農具や農家、農法などが一目でわかる写真が多数収められている他、高橋氏が直に描いた農家の見取り図、農具、耕作の現状などのイラストもあり、そういった意味でも得難い資料と言える。

 ※限定700部。

  9万7000円+税、未来社、TEL=03−3814−5521