視点
「言葉は民族だ」と良く言われる。言葉には、その国や民族の歴史、文化、風俗・習慣がすべて込められていると言っても過言ではない。民族のアイデンティティを確立するには言葉は欠かせない。
さる21日、東京で第1回「ハングル」スピーチコンテストがあり、同胞5人、日本人5人の計10人が出場した。2、3世の同胞のスピーチからウリマルの重要性が改めて認識させられた。
彼らは、ウリマルを学ぶようになったきっかけや苦労を語りながら、その過程で民族のアイデンティティを確立してきた貴重な経験を語った。
ある3世の人は、数年前まではウリマルを話せず日本人のように暮らしてきた。大学生の時、米国の大学に推薦入学できる機会があり受け入れる考えだった。しかし人種のるつぼともいえる米国で、ウリマルができないのにどうして自らの存在をアピールすることが出来るのかと思い、留学よりもまずウリマルを学ぶ方が大事だという結論に至った。
在日同胞の間でウリマルを知らない世代が増えている状況の中で、本紙では初心者向けに「朝鮮語を学ぶ」を連載している。本号で連載45回になったが、愛読者が多く、バックナンバーを送って欲しいとの要望も寄せられた。
異国で暮らす限り民族のアイデンティティは自然には養われない。目的意識的な地道な努力が求められよう。この連載がその一助になればとの思いである。(喜)