朝鮮大学校で来春から新たな学部、学科

　５月２２〜２３日に開かれた総聯１８全大会では民族教育の重要性について改めて強調しながら、朝鮮大学校の改善強化策について具体的に言及。同胞らの関心を集めている。魅力ある大学を目指して９９年度から一部新たな学部、学科を設けることがその中心内容で、すでに具体的な準備に着手しており、大学当局者による説明会も各朝高で始まっている。

　民族教育の最高学府である朝鮮大学校は１９５６年４月１０日、２年制でスタートした。それから４０余年間、朝大は祖国と同胞の愛情に支えられ、徐々に学部数を増やしながら総合大学としての体制を整えてきた。

　現在は政治経済学部、文学部、歴史地理学部、経営学部、外国語学部、理学部、工学部の４年制学部と、２・３年制の師範教育学部の８学部があり、２年制の研究院（日本の大学院に該当）が併設されている。

　これまでの卒業生は約１万２０００人。在日同胞社会を担う優秀な人材を輩出してきた。

　９９年度から実施される一連の改善強化策のコンセプトは、魅力ある大学を目指すこと。多様化する同胞社会のニーズ、同胞父母、学生の幅広いニーズに少しでも応えようという積極的な措置である。

　全国各地から同胞学生が集まり、ともに寮生活を送りながら朝鮮人としての自分と向き合う貴重な経験を積める場としての朝大に対する潜在的なニーズ自体は高い。

　学部・学科が増え、選択の幅が広がれば、それだけ幅広い多くの学生が、朝大を選択肢に加えることができるようになるだろう。

法律学科、情報処理学科、体育学部を新設

　�@政治経済学部に法律学科を新設

　�A理学部と工学部を統合して理工学部とし、そこに２年制の情報処理学科を新設

　�B師範教育学部を教育学部と改称し、３年制師範科（男子）を４年制教育学科に、２年制師範科（女子）を３年制教育学科にそれぞれ改称および拡充

　�C師範教育学部に設けられていた２年制体育学科を独立させ４年制の体育学部を新設

　�D研究院課程を現行の２年から前期２年（修士課程）後期３年（博士課程）に延長し、２年制音楽科、美術科卒業生を対象に２年制の特設班も新設

　�@の法律学科新設は、弁護士、司法書士などの法律専門家を育成するためのものである。

　近年、同胞社会では、同胞の民族的権利を守り、同胞社会で起きている様々な問題解決に寄与できる法律専門家が切実に求められている。こうした背景のもとで、司法関係の資格取得を目指す同胞学生も増えている。

　法律学科の学生が司法試験などに合格できるよう、大学としてはあらゆる便宜を図る予定だ。

　�Aの２年制情報処理学科新設は、近年、情報化社会への移行につれ、コンピューター関係の専門学校に進む者が多いことが背景にある。

　学科新設によって、コンピューター関係の技術習得を志望する学生たちが、選択肢の中に朝大も入れることができるようになる。人気、需要ともに依然高く、今後、ますます必要なジャンルと言えよう。

　�Bの教育学部拡充は、全般的な民族教育をより発展させるための措置だ。

　朝鮮学校教員の一層のレベルアップを図るため、教育課程も、有能な教員を育成するための実践重視型の内容に一層充実させる。

　�Cの体育学部は、同胞社会でスポーツ人気が高いことを念頭に、より多くの有能な体育専門家を育成するために新設される。

　年々活躍の場が広がる朝鮮学校の現場で優秀なスポーツクラブ指導者が求められていることや、スポーツトレーナーなどの職業が人気を集めていることも背景にある。

　各種目で優秀な選手が朝大に入学することで朝大のクラブ活動を強化し、活躍の場を広げることも目的の一つだ。

　近年、４年間の大学教育課程で専攻の基礎を磨き、大学院で専攻分野の専門家、学者を育成することが日本社会でも基本的なすう勢になっており、大学院を強化する大学が相次いでいる。

　�Dであげられた朝大研究院課程の延長も、より優れた専門家、学者を積極的、意識的に育てるための措置といえる。

　２年制音楽科、美術科卒業生で優秀な人材については、共和国の大学で才能を伸ばす特設班も新設される。

　一方、現行どおりの学部・学科でも、同胞たちの要望が高い各種資格取得を奨励するなど、新たな試みを行っていく予定だ。

来学年度からの学部編成