時事・解説/第10期最高人民会議代議員選挙
既報のように、朝鮮民主主義人民共和国の最高主権機関である最高人民会議の常設会議は5月20日、共和国社会主義憲法第90条に基づいて、最高人民会議第10期代議員選挙を7月26日に実施すると発表した。民主朝鮮5月27日付社説は、今回の選挙は、「政権をより磐石に固め、それに依拠して朝鮮式社会主義偉業を力強く前進させ完成させていくための事業である」と指摘しながら、選挙後は「革命と建設の力強い武器である人民政権の機能と役割をさらに高め、共和国の周りに固く結びついた人民大衆の不敗の統一団結をより強めていく時、チュチェの社会主義偉業をより一層活力をもって前進させていける」と強調した。第10期代議員選挙が行われる意義について見た。(基)
道(直轄市)、市、郡、朝鮮人民軍などで選挙委員会組織
同常設会議は同月24日、同選挙の中央選挙委員会を組織し、委員長に楊亨燮・常設会議議長、副委員長に金仲麟・朝鮮労働党中央委書記、書記長に李夢虎・常設会議書記長(対外文化連絡委員会委員長)、委員に白鶴林・常設会議法制委員会副委員長(社会安全部長)、朱成一・常設会議委員(職業総同盟委員長)、李一煥・金日成社会主義青年同盟第1書記、承尚燮・農業勤労者同盟委員長、千延玉・朝鮮女性同盟委員長、白仁俊・常設会議副議長(文学芸術総同盟委員長)、白南俊・常設会議統一政策委員会委員(祖国統一民主主義戦線書記局長)、金英浩・常設会議外交委員会副委員長(朝鮮社会民主党副委員長)、韓永洙・常設会議統一政策委員会副委員長(天道教青友党副委員長)、朴載慶・朝鮮人民軍大将をそれぞれ任命した。
その後、選挙のための準備活動が全国各地で活発に行われている。道(直轄市)、市、郡選挙委員会をはじめ、朝鮮人民軍など軍事部門にも選挙委員会が組織され活動に着手した。
共和国では、金日成主席の逝去3周年を迎えた昨年7月8日に喪明けを宣布、その後の10月8日、「全人民の総意」によって金正日・朝鮮労働党中央委員会書記を朝鮮労働党総書記に推戴した。空席のままの国家主席など国家指導機関の行方に関心が集まっていたが、これまでの経緯からすれば、代議員選挙後に最高人民会議第10期第1回会議が開催され今後の内外政策、国家指導機関が決定、発表されることになる。
憲法(90条)によると、最高人民会議の任期は5年。第1回会議が90年5月24〜26日に開催された第9期の任期はすでに3年も越えていることになるが、「やむをえない事情で選挙が実施できないときは、選挙を実施するときまでその任期を延長する」とも明記されており、金日成主席の逝去に伴う諸般の事情によって延期されてきたと考えられる。
最高人民会議の前3期の第1回会議(第7期=82年4月5日、第8期=86年12月29〜30日、第9期=90年5月24〜26日)では、@国家主席選挙 A国家指導機関選挙 B前年の国家予算執行決算と同年の国家予算について審議されている(ただ、第8期第1回会議は Bについては同年4月7〜9日の第7期第5回会議で審議済みだったため、審議されなかった)。
また、いずれも第1回会議は代議員選挙後1ヵ月を前後して開催されている。同時に、いずれも第1回会議の前に必ず朝鮮労働党中央委員会総会が開かれ、最高人民会議に提出する内外政策などを立案、策定している。「朝鮮民主主義人民共和国は、すべての活動を朝鮮労働党の指導のもとに行う」(憲法11条)と規定されていることから、当然の流れと言える。
今回の選挙は、朝鮮人民の一心団結の威力を誇示し、人民大衆中心の朝鮮式社会主義の優位性をさらに高く発揮させ、社会主義強行軍を力強く促進するための大きな契機となろう。