本の紹介/〈民族〉であること―第3世界としての在日朝鮮人― 高演義著
朝鮮大学校の教授である著者が、「統一評論」、朝鮮時報、「新しい世代」「イオ」「MILE」などで発表してきたエッセー、評論などに加筆し、まとめたもの。
現代世界における民族の姿、民族の一員として生きることの意味や可能性を、在日朝鮮人としての視点から探っている。
とくに、第3世界問題を専攻分野とする著者は第1部「民族であること」で、フランツ・ファノン(アルジェリア)、アミルカル・カブラル(ギニアビサウ)ら第3世界の革命家たちの示唆に富んだ言説を、在日朝鮮人の姿と重ね合わせながら「民族」を論じている。
「先進国」の人々の間で言われている「国民国家の衰退」「世界のグローバル化、ボーダレス化」などの論調、一部の同胞が「在日論」を語る風潮に、一石を投じる1冊と言える。
【定価=2400円(税別)、発行=社会評論社】