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奉仕する総聯/同胞のために何をするか―18全大会報告から―(上)


民族性

同胞社会のつながりを/朝鮮人として生きる

 総聯第18回全体大会(5月22〜23日)では、2001年までの3年間の活動で、同胞たちの間で民族の尊厳を守り、その生活を向上させ権利を拡大することを重要な方針として打ち出した。総聯は、真の奉仕型の組織として今後3年間、同胞のために何をしようとしているのか。(東)

 

理念、信条を超え

 なぜ今、「民族の尊厳を守る」ことなのか。

 総聯は、在日同胞はあくまでも日本に在住する外国人であり、朝鮮民族の一員であるという原則的立場を貫き、民族性を大切にし、朝鮮人として堂々と生きることを追求してきた。

 しかし、同胞社会の世代交替にともない若い世代の民族性は徐々に薄れてきた。さらに、戦後一貫して続けられている日本政府の差別・同化政策、また南朝鮮当局の在日同胞棄民政策と民族分裂策動により、在日同胞の日本人への同化が進み、帰化者が増加。在日朝鮮社会科学者協会の調査によっても毎年1万人近くが帰化しており、同胞結婚の割合も3割を切った。民族の尊厳を守ることを打ち出す背景には、「在日同胞社会は今、民族性の固守か喪失かという岐路に立っている」(大会報告)という現状認識もある。

 また祖国が半世紀以上も分断された状況にある在日同胞は、理念、信条の違いを超えて結ばれた力ある同胞社会を求めている。そのための共通項は「民族」以外にない。大会報告は、総聯に所属していても民団に所属していても、組織の中にいても外にいても、民族性の一点で一つになり、民族性が受け継がれ同胞愛で結ばれた在日同胞社会を作っていこうと呼びかけている。

 

自分のルーツ知ろう

 大会報告は、民族の尊厳を守っていくための課題として、新世代を主役とする民族性啓蒙活動、民族文化生活運動を大々的に展開することをあげた。これは、単に旧世代の価値観を持ってくるのではなく、朝鮮民族としての自分自身のルーツを知り、もっと表に出していこうというもの。また冠婚葬祭などの風習をはじめ、礼儀や食生活まで、生活レベルで民族のいいところを大切にし、生かしていこうと呼びかけていく。

 次に大会報告は、日本政府の在日同胞に対する同化、帰化強要政策に反対すると同時に「民族の尊厳を捨て他国に従属する道である帰化をしてはならないという世論」を喚起し、「民族的自主性を踏みにじり、同胞社会を同化と分裂へと追いやる参政権獲得運動」に引き続き強く反対していくと表明した。

 さらに、同化を促進させる国際結婚の増加に歯止めをかけ、同胞の間で潜在的ニーズの高い同胞結婚を成就させる活動への取り組みを強調した。総聯はすでに94年3月に同胞結婚相談中央センターを開設。7つの地方センター、30の都道府県相談所を拠点に結婚コンサルタント事業を全国ネットで展開し、民団、未組織同胞まで含めた幅広い同胞結婚を毎年数百組成就させてきた実績がある。

 

新たな試み拡大へ

 民族教育は、在日同胞が日本政府の差別・同化政策に負けず、朝鮮人として伸び伸びと生きていく力を育むため、欠かすことのできない重要な位置を占める。

 「変化した現実に即して各級学校教育の内容と方法を絶えず改善していく」ため、同胞たちの意見を積極的に取り入れていく。すでに同胞らの要望を受け、今年度から東京朝高に情報処理科と体育科が新設されたが、今後、他の朝高にも各校の実情に合わせた新たな試みを広げていくという。

 また来年度から朝鮮大学校が部分的にリニューアルされる。同胞らの幅広い要望に応え、魅力ある大学にするための措置だ。弁護士、司法書士などの法律専門家を育成する学科、情報処理の専門科を新設し、師範教育学部の師範科を現行の2、3年制から3、4年制の教育学部に発展させ、4年制のスポーツ専門科も新た設ける。従来ある学部、学科でも、より専門化する方向で科目の整理や拡充を行う予定だ。法律専門家育成は、同胞社会に貢献できる法律専門家が切実に求められているため。教員育成コースの強化は朝鮮学校教員の一層のレベルアップが目的だ。体育コース新設は、より幅広い学生の受け入れを想定している。

 こうした民族教育の発展を支えるためにも、教育権拡大運動が一層重要になる。大会報告は「当面して日本の国立大学受験資格と、私立学校並みの教育助成金の獲得を必ず実現」すると決意を表明。今後3年間の目標を明確にした。