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「少年の主張」最優秀賞の黄さんに日本の高校生が手紙


 東京都が発行する広報誌を通じ、昨年10月に行われた「少年の主張東京都大会」の最優秀賞受賞作、西東京第2初中級学校3年の黄愛理さん(当時)の「チョゴリ」を読んだ都内の高校2年生、石原伸子さんがこのほど、黄さんあてに手紙を寄せた。その内容を紹介する。

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 こんにちは。突然の手紙、さぞ驚かれたと思います。私は現在、都内の高校に通っている、石原伸子です。母から渡された東京都青少年協会の発行する雑誌で、黄さんの主張を読み、お手紙を書かせていただこうと思いました。

 私はチョゴリが好きです。とても素晴らしいと思います。チョゴリを大切にしていらっしゃる朝鮮の方々を、とても素晴らしいと思います。民族衣装を、それも異国の地で制服にするほどの誇りを、うらやましいと思います。

 残念なことですが、日本には、朝鮮蔑視、アジア蔑視の風潮がまだ残っています。チョゴリを着ているということだけで、つらい思いをされた方が多くいらっしゃることもニュースで知りました。

 ニュースになっていない中には、もっとたくさんの事件もあったと思います。

 今、日本にいる朝鮮人の中には、第2次世界大戦中、日本人が無理やり連れてきた人も、多くいるというのに。遠い昔、朝鮮から多くのことを教わって発展していくことのできた日本。日本最古の歌集である「万葉集」の前期の作品は、朝鮮語であるという学説もあるそうです。

 そんな日本人が何故、朝鮮人を蔑視できるのでしょう。何の権利があってチョゴリを着た生徒をいじめるのでしょう。私は、日本人として悔しく、恥ずかしく思います、本当にこんな社会は変えたいと思います。

 「情報化」「国際化」と騒がれていても、それは強い国が弱い国を押しつぶし、一方的な情報で弱い国を隅っこに追い詰めているとの洞察に驚きました。そして、その通りだと思いました。強い国に有利な情報、世界的な規制緩和の流れの中で強い国に流れる物資。

 お互いを大事にする謙虚さと思いやりは、本当の国際化社会の絶対的な条件なのだと、黄さんの主張を読んで思いました。今、EUのように、アジアがまとまろうという動きがあるそうです。お互いを思いやりながら、友好を結び、そしていつの日か、全世界が一つになれたらいいのにと思っています。

 「世界に出なさい」、「語学を学び抜きなさい」と、学校でよく言われます。それを考えると、外国で暮らしている人を、少しうらやましく思います。黄さんも、朝鮮語、日本語をつかえるのですよね。そして恐らく、英語も勉強しているのではないでしょうか。学ぶことは、本当にたくさんあると思います。

 黄さんがチョゴリを大切にされる今の気持ち、いつまでも忘れないで下さい。私も、大切にできるものを見つけたいと思います。元気で頑張って下さい。

 こんなにも長くなってしまった手紙を読んでくれて、本当にありがとうございます。あなたと、友人になれることを願って。