視点
南朝鮮で新「政権」が発足してから3ヵ月たった。当初は南北関係改善での前進が期待されたが、前「政権」時と変わらぬ状況が続いている。
この間、北京で副部長級の南北会談が4月11日〜17日まであり、北への肥料提供問題が話し合われたが、何の成果もなく決裂した。
肥料提供問題は南側が先に申し出て、北側が応じたもので、政治問題ではなく同胞愛による人道問題として扱うべきだった。しかし南側は「相互主義」を掲げ、「北側から相応の譲歩を引き出す」(南側首席代表で統一部次官の丁世鉉)と様々な政治問題を前提条件に出した。
金大中「大統領」も5月19日、「北が肥料の援助を受けるためには離散家族問題を受け入れるべきだ」と語ったという。同胞支援をあたかも国家間や商取り引きのようにとらえている。
彼は就任演説で「南北間の和解と不可侵及び協力、交流に関する合意書」(91年12月13日)の履行を強調した。しかし、その前文は「双方の関係が国と国との関係ではない統一を志向する過程で、暫定的に形成された特殊関係である」と強調している。北京会談では南側の姿勢に統一志向は見られなかった。
5月23日発の朝鮮中央通信は、「肥料提供問題さえスムーズに合意されれば、今後、南北関係での他の懸案問題についても一つ一つ着実に討議を進めていける好機にもなりえた」と主張したが、その絶好の機会を南側は逃がした。(喜)