視点
第2次世界大戦のA級戦犯、東条英機を美化し、日本の侵略戦争を肯定する映画「プライド 運命の瞬間(とき)」が今月下旬から東映系で公開される。
企画を持ち込んだ東日本ハウスの前会長が、「従軍慰安婦」の教科書記述に疑問を投げかける「漁火会」の生みの親であることからも、映画の背景がうかがえる。
その上映禁止を求める動きが高まっている。共和国は労働新聞や朝鮮中央通信などで連日、非難論評を発表。中国外交部スポークスマンも「驚きと怒りを禁じ得ない」と指摘した。
日本国内でも当の東映労組や映画関係者が、歴史の真実を歪める危険な作品の登場を黙視できないと、「批判する会」を結成した。会の「申し合わせ」には、映画の上映が侵略と加害の責任を免罪し、日本国民の平和への願いを裏切るものと指摘、公開中止を求めて働きかけ、再びこうした企画が出ないよう状況作りをする、などとある。
南朝鮮の元「従軍慰安婦」に慰謝料を支払うよう命じた山口地裁の判決を不服として、日本政府が広島高裁に控訴するなど、最近、日本のアジア侵略と植民地支配を肯定する気になる動きが出ているが、「プライド」の上映もその一環と言える。
「日本での東条礼賛はドイツでのヒトラー礼賛に等しい」(内海愛子・恵泉女学園大学教授)。こうした動きが再び起きないためにも、日本政府は過去を真に謝罪し、きちんと清算すべきだ。(聖)