sinboj_hedline.gif (1986 バイト)

ここが知りたいQ&A/共和国が米に求めた基本合意文履行での行動措置とは


制裁緩和、重油の随時納入/軽水炉建設の順調な進展も

  共和国外交部スポークスマンは7日、朝米基本合意文履行において、米国に速やかな行動措置を講じることを求めたが。

  速やかな行動措置とは、@対北経済制裁の緩和 A共和国に提供する軽水炉建設の順調な進展 B重油の納入である。

 共和国は公約通り合意文調印後3ヵ月以内に米国に対する経済制裁を全面撤回したが、米国は一部のみでいまだに実際的な制裁緩和措置を講じず、逆にそれを共和国から譲歩を得るための手段に利用しようとしている。

 また、合意文では、共和国が黒鉛減速炉と諸関連施設を凍結する代償として、米国は2003年までに軽水炉2基を提供し、1号軽水炉が完成するまでのエネルギー損失分として年間50万トンの重油を提供すると明記されている。

 共和国は合意文調印後、1ヵ月以内に義務づけられていた黒鉛減速炉の完全凍結を実施し、96年3月からは使用済み燃料棒の保管を開始した。

 しかし米国の主導下で進められている朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)による軽水炉建設は、着工(昨年8月)が予定より1年以上も遅れ、完成もずれ込み「2005年以降」(建設担当の南朝鮮電力公社、日本経済新聞11日付)と言われている。

 さらに、重油納入も停滞している。

  共和国は最近、重油の納入について再三指摘しているが。

  資金問題がひっかかり、昨年11月から今年10月までの分がまだ1回も納入されていないからだ。共和国外交部スポークスマンは今回の言明に先立ち3月6日、重油納入を促す談話を発表した。朝日新聞3月7日付によると、同月6日までに金桂寛外交部副部長が納入を促す書簡を米国に送ったという。

 重油が納入されないため共和国は、火力発電所を稼働させることができず、電力生産で大きな損失を被っている。そのため共和国の当該部門では、「米国側の空約束にこれ以上耳を傾けるのではなく、これからは凍結された核設備などを開封して整備し、すべてのことをわれわれ式に行わざるを得ない」と言っている。これは、黒鉛減速炉から出た使用済み燃料棒を開封して、元来計画していた自らの資金と技術、原料に基づき自立的な原子力工業を発展させ電力を生産していくということだ。

 共和国は米国に何度も警告してきたが、米国は口先だけで合意文履行の実際の行動措置は講じなかった。

  重油の納入はなぜ遅れているのか。

  重油は、KEDO理事国の日本・米国・南朝鮮が賄うことになっているが、昨年11月から1年間の購入費用の分担が今も決まっていないからだ。オルブライト米国務長官は、4月末の日本と南朝鮮訪問で2000万ドルの費用分担を求めた。

 重油の納入問題は、朝米基本合意文の重要な柱の1つである。合意文履行は朝鮮半島、東北アジアの平和と安定につながり、ひいては日本にとっても利益になる。

 梅津至・前KEDO事務局次長は、1号軽水炉が完成するまでの間は「加盟国が協力して必要な資金を確保し、安定的に重油を供与していくことが必要不可欠である」(「国際問題」96年4月号)と主張している。