時事・解説//金正日総書記が4月18日付け書簡で示した民族大団結5大方針
金正日総書記は、南北連席会議50周年記念中央研究討論会(4月20日、平壌)に送った4月18日付書簡「全民族が大団結し、祖国の自主的平和統一を達成しよう」(以下「4・18書簡」)の中で、@民族自主の原則を堅持し
A愛国愛族の旗印のもとに団結して B南北関係を改善し
C外勢の支配と反統一勢力に反対してたたかい
D全民族が互いに接触、対話を行って連帯連合を強化する、という祖国統一のための民族大団結5大方針を示した。5月5日付労働新聞は「全民族大団結5大方針を具現し祖国統一を早めよう」と題する社説を掲載し、内外のすべての同胞は、金日成主席が示した全民族大団結10大綱領と金正日総書記が示した民族大団結5大方針の旗を掲げ、民族の団合と祖国統一のための大行進に拍車を掛けよう、と呼びかけた。民族大団結5大方針について見た。(基、根)
民族自主を堅持
生存と発展の根本的保証/自らの意思で運命開拓
「民族の自主性は民族の生命であり、自主性を守ることは民族の生存と発展のための根本的保証であります。民族自主の原則を堅持してこそ、民族の権利と利益を守れるし、民族の運命を民族の意思と要求に沿って自主的に切り開いていけるし、国際舞台で自主権を堂々と行使し、完全な平等と互恵の原則で対外関係を発展させることができます」(「4・18書簡」より)
民族自主の原則は民族問題解決の核であり、全民族大団結の基礎の基礎である。民族の大団結も祖国統一も、国と民族の自主性を守るためのものだ。書簡は、民族自主の原則に基づいて大団結を成し遂げてこそ、祖国統一を実現できると明言している。
すべての民族は自らの運命を自らの手で、自らの意思に従って自主的に切り開いていく権利を持つ。民族自主とは、外勢に頼るのではなく、民族自身の力で民族の問題を解決することである。したがって、民族自主を守るためには、外勢とではなく同族と手を結び、全民族が大団結してともに歩むことが必要だ。
南朝鮮では今、過去の事大売国、外勢依存の政治を終え、民族の尊厳と利益を守る真の自主政治が実施されることが望まれている。
国の統一問題は民族内部の問題であり、あくまで民族自身の力で解決されなければならない。外勢に依存して統一を実現させようというのは誤算であり、外勢依存を追求しながら南北の和解や団結を説いたところで、空言にすぎない。民族自主の原則に基づいて大団結を成し遂げた時にのみ、民族が自らの運命の真の主人となり、祖国統一と民族繁栄の原動力、決定的な力量となるのである。
愛国愛族
思想と制度の差を越え/統一願えば南の執権上層とも
「北と南、海外の全民族が、思想と制度、政見と信仰の差異に関係なく、階級、階層の利害関係を超え、愛国愛族の旗印、祖国統一の旗印のもとに固く団結しなければなりません」(「4・18書簡」より)
半世紀以上も分かれて暮らしてきた北と南の間には、思想や制度をはじめあらゆる差異が存在する。しかしそうした違いよりも、五千年以上の歴史を通じて形成してきた単一民族としての共通性の方がはるかに大きい。その共通性の旗印として掲げられたのが愛国愛族の精神である。
民族内部には異なる階級、階層があり、その要求と利害関係も異なるが、こんにち、民族の前に第1次的に提起されている課題の祖国統一は、愛国愛族の旗印のもとに団結しなければ実現することはできない。
金日成主席は金泳三「政権」発足直後の93年4月6日、「祖国統一のための全民族大団結10大綱領」を提示し、真に国の統一と民族の繁栄を願えば、過去に民族に背いた人でも、その過去を反省するならば、誰にでも対話の道を開いていると述べた。しかし金泳三はその後、外勢と結託して愛国愛族の精神に反する対北対決政策を取った。
総書記は、金大中「政権」発足後、はじめて統一政策に関する著作を発表し、その中で民族大団結5大方針を提示。愛国愛族の旗印のもとに団結することを主張し、「われわれは南朝鮮の執権上層や与党と野党の人士、大資本家、軍将官らも民族共同の利益を大切に思い、国の統一を願うならば、彼らとも民族大団結の旗印のもとに団合するでしょう」と述べた。
南北関係改善
南の政策転換が不可欠/前任者の轍踏まず反北を連北へ
「南朝鮮当局者が政策転換をして反北対決政策を連北和解政策に変えれば、南北関係が信頼と和解の関係に発展し、民族的団結と祖国統一を実現させるうえで新たな局面が開かれるでありましょう。南朝鮮当局者は、愛国愛族の立場から反北対決政策を連北和解政策に変え、民族の和解と団結の道に進まなければなりません。南朝鮮で民族的団結と祖国統一を阻むファッショ的で反統一的な法律と機構を撤廃し、すべての政治的障壁をなくさなければなりません」(「4・18書簡」より)
南朝鮮現「政権」が前任者の二の轍を踏まず、愛国愛族と連北団結の立場から政策を転換してこそ、南北関係改善は可能だ。書簡では、これまで反対してきたのは南朝鮮の執権者ではなく、執権者の外勢依存政策と反統一政策、売国背族行為だと指摘している。
とくに、金泳三は執権5年間に、反民族・反統一政策で南北関係を最悪の状態に追いやった。金泳三は「北の崩壊」を前提にした対北吸収統一政策、同族との対決政策を徹底させた。共和国や総聯を敵と見なし、訪北人士や民主化・統一運動を弾圧する「国家保安法」、様々な対北謀略を行う「国家安全企画部」(現「国家情報院」)をフル稼働させ、金日成主席の逝去の際には弔問団派遣を拒否するなど、同族を敵視し続けた。外勢依存も顕著で、駐南朝鮮米軍とともに合同軍事演習を繰り広げ、北侵戦争挑発に熱を上げた。
南北が祖国統一の道をともに切り開くには、南朝鮮当局者が反北対決という古い過去と決別することが必要だ。金大中は自らもその被害者であり、かつて主張していたとおり、保安法と安企部をなくすことで統一の意思を示すべきだろう。
外勢と反統一勢力に反対
統一を阻む基本障害/離間、瓦解策動に対抗
「朝鮮民族の大団結を達成するためには、外勢の支配と干渉に反対し、外勢と結託した民族反逆者、反統一勢力に反対してたたかわなければなりません。外勢の支配と干渉は、朝鮮民族の団結と祖国統一を阻む基本障害であります」(「4・18書簡」より)
朝鮮半島は、米国の南朝鮮に対する支配と干渉によって北と南に分断され、以来、その支配と干渉が国の統一を妨げている。
米国は、朝鮮が日本の植民地支配から解放された直後の1945年9月8日、仁川に軍隊を上陸させた。以来、こんにちに至るまで米国は南朝鮮に軍を駐屯させ、南朝鮮軍に対する統帥権を握って南朝鮮を軍事的に支配してきた。
南朝鮮駐屯米軍が南で戦争装備を増強し、南朝鮮軍と合同で北侵を狙った大規模軍事演習を繰り広げることによって、朝鮮半島情勢は緊張している。
一方、米国と結託した南朝鮮の歴代統治者らは、77年から79年の間に、朝鮮半島の軍事境界線南側に東西240キロメートルにわたってコンクリート障壁を造り、南北間の政治、軍事的対決を激化させた。南北間の政治的対決状態を解消することは南北関係を改善するための優先的要求である。
さらに外勢と結託した南朝鮮の歴代統治者らは、自主、民主、祖国統一を志向する南の統一勢力を弾圧し、愛国的な統一民主勢力を離間、瓦解させてきた。
こうした民族反逆者の反統一政策、民族分裂策動に反対して民族的団合と祖国統一を妨害する根源を除去しなければならない。南朝鮮において誰が執権しても、外勢依存政策と反統一政策、売国背族行為を取るならば、民族大団結や祖国統一を達成する局面は開かれない。
対話・接触
自由に往来し連帯を強化/互いの理解と信頼深める
「民族の大団結を達成するためには、北と南、海外の全民族が互いに往来して接触し、対話を発展させ、連帯・連合を強化しなければなりません」(「4・18書簡」より)
民族内部に思想と理念、政見と信抑の差異があるとしても、北と南、海外の全同胞が自由に往来して接触し、対話を進めて連帯・連合を強化すれば、互いの理解と信頼は深まり、民族共同の目的を達成するために力を一つにすることができる。これは、民族の大団結を達成するための重要な方途の一つである。
象徴的な出来事として北と南、海外の同胞による汎民族大会、汎青学連統一大祭典がこれまで8月に開かれてきたが、南朝鮮当局者は参加しなかった。それどころか南当局は96年にこれらが開かれた際には、汎民族大会南側準備委員会、「韓国大学総学生連合」の学生を無差別弾圧し、5000余人を逮捕、連行した。
重要なのは自由な往来と接触、対話を通じて統一問題を話し合うことである。
こうした状況のもとで、共和国では少数の当局者や特定の階級、階層だけでなく、各党、各派、各界各層の意思をまとめられる幅広い対話、全民族的な対話を進めようとしている。このような対話を様々な形態の双務的、多務的な対話に発展させることで、連帯・連合はより強化されよう。
2月の共和国政党・団体連合会議で金容淳党書記は、過去の惰性から脱して民族自主と大団結の原則に基づき祖国統一の道を切り開くことを心から願うならば、南の政党、団体をはじめ誰とでも対話と協議を行う用意があると言明した。
さらに金容淳書記は4月の「祖国統一のための全民族大団結10大綱領」発表5周年記念平壌市報告会で、「南朝鮮で現在、政経分離の原則に沿って協力と交流を推進しようとの言葉もあるが、かりにそれが真実で祖国統一のための目的から出発したものならば、われわれは形式にこだわらず対処するだろう」と述べた。
しかし南当局はその後の北京での南北副部長級会談で、人道問題を政治利用しようとした。
ようするに南北間の対話は、民族共同の利益を優先して南北間の不信と対決状態を解消し、すべてを祖国統一に服従させる原則で進めなければならない。