GWだ 山へ行こう/同胞の中高年に人気
GW(ゴールデンウィーク)が迫ってきた。このところ、在日同胞の間では中高年を中心に登山・山歩きがブームとなっている。この連休を利用して、支部や分会で登山を計画していたり、これを機に始めようとしている同胞も多いのではないだろうか。登山をより快適かつ安全に楽しむための心得と準備、登山の効用についてまとめた。(道)
同胞の登山クラブとしては、中央単位の在日本朝鮮人登山協会をはじめ各都道府県にも多く存在する。総聯本部単位だけでも15の協会・クラブがあり、支部単位まで含めれば、「5000人は超えている」(登山協会の金英会長=72)とされる。
折からの健康ブームもあってメンバーの大半が40、50代の中高年層だが、10代、20代でもファンが増えている。
活動も活発だ。女性だけの「百日紅登山サークル」(東京・葛飾)は1986年の結成以来、月1回のペースで登山を続けて100回を超えている。91年7月には白頭山に登った。「練馬トラジ登山会」は昨年12月現在で150回を超える山行の実績がある。
登山協会が結成された95年からは毎年、全国規模の登山会も行われている。第1回は長野・乗鞍岳、第2回は北海道・大雪山、第3回は九州・阿蘇山でそれぞれ行われた。第4回目の今年は8月22〜24日、日光・白根山で行われる。
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登山は四季折々の景色を楽しんだり、スナップ写真を撮ったりスケッチしたりと楽しみ方は人それぞれだ。何より健康に良い。
登山の効用は @筋肉を使うと毛細血管が発達して血流が良くなり血圧が下がる A血流が良くなると血管壁についたコレステロールを取り除き動脈硬化を予防する B糖の代謝が良くなり糖尿病を予防し肥満を防ぐ C心肺機能が高まる D脳を刺激し呆けを防ぐ E筋肉を強くしプロポーションを保ち、肩凝り・腰痛を防ぐ F骨が強くなりカルシウムが定着するので骨粗しょう症を予防する、などと多い。
森林浴の効果も大きい。森林浴が健康に良いのは、樹木が放出する「フィトンチッド」の効果による。
フィトンチッドとは、植物から放出される揮発性の活性物質の総称。これを吸うことによって、血液が浄化され細胞が活性化することで、新陳代謝が活発になり体に活力が生まれる。
月に3回は山に登るという金会長は、70歳を超えた高齢ながら、体力測定では「40代後半」の数値を記録したという。
在日本亜朝鮮人登山協会 金英会長に聞く
「大自然の中で、高度な技術が必要なく、四季を問わず、老若男女誰でも楽しめるのが登山。だが、油断は大きな事故につながることを忘れてはならない」
登山協会の金英会長はこう話す。
山歩きを安全かつ快適に行うためには登山靴、ザック、雨具は欠かせない。
登山靴は、足首部の深いハイカットのものが良い。足首部が長い分、足の捻挫を防げる。ザックはデザインよりも自分の体にしっかりフィットするものを選ぶこと。下界は晴れていても、山の天気は変りやすいので雨具は必携だ。セパレートタイプで、通気性のあるゴアテックス製が望ましく、防風、防寒具にも兼用できる。ウェアは綿製品は避ける。雨に濡れた時、乾きにくく体の動きを悪くしたり、体を冷やし体力を低下させるからだ。下着も綿は避け、空気を保つウールか化繊が良い。
山歩きでは、自分の体力に合った山を選び、計画を立てることが大切だ。
事前に天気予報やコースを調べ、予備知識を持っておく。実際に登る時には地図と方位磁石は必ず準備し、頻繁に現在地を確認する。コースが分からなくなったり、体調が悪い時は決して無理をせず勇気を持って戻ることだ。