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本の紹介/在日朝鮮人の歴史と展望−近現代の朝鮮と日本の関係史


 在日朝鮮人問題といえば言うまでもなく、朝鮮と日本をめぐる近現代史――つまり日本の侵略と植民地支配によって作り出された民族の痛苦の歴史、その過程において生きる道を求めて中国や日本、沿海州やハワイなど海外への流浪、その中でも日本の侵略戦争政策としての朝鮮人の強制連行(徴用、徴兵)などの産物である。

 そのため本書では、日本の朝鮮に対する侵略と併合、植民地支配の過程における政治、軍事、法制的 
な手法や実態などについて多くのスペースを割いた…。

 編者が序文でこう記しているように、第1章「日本による朝鮮植民地支配」では、韓国併合条約の不法性と不当性について(琴秉洞氏)、問われる日本の朝鮮に対する植民地政策(李大煕氏)、「征韓」思想の根源と武力による侵略・支配(韓桂玉氏)、第2章「在日朝鮮人の形成過程」では韓日基本条約は「乙巳条約」の現代版である(編者)、日本の「有事」と「対象勢力」(アジア動向研究会)、大阪の朝鮮人学校―1945〜1949(朴鐘鳴氏)、第3章「在日朝鮮人の現状と展望」では在日朝鮮人の人権(金京冨氏)、在日同胞の民族意識―統一の時代を展望して(康宗憲氏)、在日朝鮮人に対する考察(編者)など、収められた論文は多岐にわたっている。われわれ在日同胞が過去を見据え、未来を展望するうえで、いずれも示唆に富む内容だ。

 「われわれ在日朝鮮人は日本に在住しながらも、民族的主体に立って、歴史的認識を確立し、世界を展望しながら、現在と未来を共に考え、模索して行きたいと思う」。これが編者のメッセージである。

 【定価=3200円、発行=大阪経済法科大学出版部、TEL 0729−41−9129】