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投稿/外国人学生に受験資格を 高知大学助教授 中田道孝


 朝鮮学校など在日外国人学校の大学受験資格を巡る問題が論議を呼んでいる。

 文部省は現在、外国人学校が学校教育法の第1条に定められた条件を満たした学校(1条校)でない、との理由から、在日外国人学校の生徒に、日本の大学を受験する資格を認めていない。しかし外国人として当然受けるべき教育を受けたに過ぎない在日外国人学校の学生を排除する一方で、外国からの留学生は受け入れている以上、このような言い訳は通用しない。

 公私立大学の中には、独自の判断で認めているところも多いが、国立大学は目下のところ、全てが文部省の見解に従うかたちで受験を拒否している。高知大学もしかりで、教授会で一度、この話しを出して見たものの、反応は「わが校だけで話し合ったところでどうしようもない問題だ」とにべもないものだった。

 一部、1条校となって全ての大学の受験資格を得ている外国人学校があるが、日本の学習指導要領を順守した結果、民族のアイデンティティを保持し得る教育内容にはなっていないと聞く。今の制度が、民族のアイデンティティや誇りを満たし得ない教育を、外国人に選択せしめているとは考えられないだろうか。

 在日外国人の中には、在日朝鮮人のように大学校までを持ち、民族の誇りやアイデンティティを保持した教育・学問への需要と欲求を満たさんと努めている例もある。だが、朝鮮大学校には医学部はなく、仮に作ったところで、次には国家試験の受験資格の問題が出てくることは想像に難くない。

 在日外国人学校にどのような資格を認めるかは、外国人が日本に住むうえで、どのような生き方を選択できるかという問題につながる。その選択の幅を著しく制限している今の制度は、日本社会にある、とくに欧米以外の外国人に対する強い差別感情と結び付いていると見ることができよう。

 見方を変えれば、大学受験資格問題の解決は、そうした差別意識を除去していくためにも必要なことだ。むしろ、良識をむねとする教育・学問の分野から正さずして、どこから変えていけるというのだろうか。

 最近では日本弁護士連合会が、以上に述べたのと同様の内容をもって、日本政府に現状の是正を勧告している。

 大学人や政治家、官僚には、この機会に是非とも熟考を求めたい。