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関東地方のオモニら日弁連勧告受け集い


 「関東地方の子女教養担当者およびオモニ会役員の集い」(主催=女性同盟中央)が22日、東京・文京区の東京朝鮮会館で行われ、総聯中央の朴云承教育局長、関東地方と長野県などの同胞女性ら100余人が参加した。

 集いは、日本弁護士連合会が去る2月20日に、日本政府に対して朝鮮学校など外国人学校への制度的差別の是正を勧告したことを受けて、その内容と意義、運動の今後について考えようと開かれたもの。勧告にあたり、実態調査にあたった鈴木孝雄弁護士が講演し、質疑応答も行われた。

 まず女性同盟中央の金一順委員長があいさつ。今回の勧告で、民族教育の権利を擁護する運動の正当性が改めて確認されたと指摘し、オモニたちは団結した力でJR定期券割引率差別の是正を成し遂げたが、今後もいっそう大きな成果を勝ち取ろうと呼びかけた。

 続いて鈴木氏が講演。学校教育に対する公的助成は税金からの還元であり、日本人と在日朝鮮人は同様の納税義務を果たしている以上、朝鮮学校と日本学校との格差は「どのような論理をもってしてもあまりに大き過ぎる」と話した。

 また、日本政府が資格や助成面での差別をもって、在日朝鮮人に自国の教育を押し付けようとするのは、「自国にとって従順な人間に育てたいからだ」と指摘。「政府の考えは植民地統治時代から変わっていないが、日本市民の中にも間違いを正そうとの精神はある。今後も現状是正のために尽力する」と話した。

 

朝鮮学校権利擁護/世論通じ「重大さ」浸透を

 総聯埼玉・西南支部の同胞らは3年前から、管下の新座市に対して助成金の給付を要請してきた。昨年9月の議会で、陳情がようやく採択されたが、行政は動く気配もないという。

 運動の中心メンバーで同市に住む河福南さん(50)が質疑応答で、こうした現状を説明して意見を求めたところ、鈴木弁護士はこの件だけに限らず、市長やオンブズマンと話し合う際には、自分も同席するか、ほかの弁護士を紹介するなどして協力したいと答えた。

 朝鮮学校差別を「重大な人権侵害」と指摘し、即時是正を求めた日弁連の勧告・調査報告書は、世論に少なからず影響を及ぼしている。

 しかし法的拘束力がないだけに、「重大な人権侵害」の当事者である日本政府や地方自治体が、どれだけ問題意識をもって受け止めるかが重要になる。

 市長や担当者と繰り返し交渉してきた河さんは、「行政は在日朝鮮人の権利問題に関する認識が浅すぎる。だから世論の重みも感じていない」と指摘する。協力してくれる日本人に配るために、日弁連の勧告・調査報告書の冊子をまとめ買いしながら、「今後も基本的な問題意識から広めていかねばならない」と話していた。

 こうしたケースは、新座市に限ったことではない。

 都内のある朝鮮学校の父母、関係者が行政に補助金の増額を要請した際、勧告への見解をただしたところ、担当者は「個人的には世論を受けとめて行きたいが、財政的な苦しさを理解して欲しい」と応じたという。

 日本政府や行政に、自らが人権侵害の当事者であり、朝鮮学校への差別が放置できない問題であるとの認識は、必ずしも浸透してない。

 在日同胞はこれまで、民族教育の正当性と差別の深刻さを世論にねばり強く訴え、理解と支持の輪を広げるかたちで成果を勝ち取ってきた。

 各地の総聯組織では、日弁連の勧告・調査報告書を議員らに配ったり、学習会を開くなどして世論高揚に努めている。

 この好機を具体的な成果につなげるためにも、世論をいっそう盛り上げ、行政などに問題の重さを認識させて行く必要がある。(賢)