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ニューデリー・チュチェ思想国際セミナーに参加して/韓東成


 11、12日の両日、インドの首都ニューデリーで「現世界での自主・平和に関するチュチェ思想国際セミナー」が開催された。太陽節制定後初めて迎えた金日成主席の誕生日を記念する歴史的意義とともに、国際的謀略事件の舞台にされた昨年2月の東京セミナー以後、初めて開催されるチュチェ思想国際セミナーということで、内外の大きな関心を集めたこの会議に、在日朝鮮社会科学者代表団の一員として参加する機会に恵まれた。

 

前回上回る23国から

 昨年来、国際的にチュチェ思想研究活動に対する様々なひぼうと妨害が続けられる中、何よりも各国からの参加数に注目が集ったが会場のホテルには、東京セミナーを上回る世界23ヵ国からの代表とインドの各界人士200余人が集い、当初の危惧は払拭された。

 チュチェ思想国際研究所とアジア、ヨーロッパ、ラテンアメリカ各地域研究所の責任者をはじめ、東京セミナーに参加した著名な学者、研究者がほとんど顔を揃えたばかりではなく、スリランカ職業教育地方産業相、ギニア国防相代理、タイ元外相、バングラデシュ人民連盟議長、ペルー労働者農民学生人民戦線委員長、ルーマニア社会主義党副委員長をはじめ、閣僚や政治家、社会運動家などの幅広い参加をみることができた。朝鮮からも楊亨燮委員長(最高人民会議議長)を団長とする朝鮮社会科学者協会代表団が参加した。

 また、主催国インドの労働相、鉱業相、インド社会主義党書記長が来賓として参加し、インド政府と国民のセミナーへの関心の高さを示した。

 チュチェ思想国際研究所の尾上健一事務局長は討論の中で、各国のチュチェ思想研究者は、予期せぬ試練に遭遇したにもかかわらず、不屈の意思をもって自らの活動を継続し拡大するための厳しいたたかいを続けてきた、全世界のチュチェ思想研究者が一堂に会し国際セミナーを開催することができたのは、そのような強い信念と真しな努力の結晶である、と感慨深く述べたが、今回のセミナーは、参加メンバーの量と質からも、国際的チュチェ思想研究活動が、大きな試練をのりこえ着実に前進していることをはっきりと証明したと言えよう。

 

「一体化」へのアンチテーゼ

 セミナーでは、基調報告と研究討論など30余人が報告を行ったが、その主なテーマは、21世紀の世界を展望する自主・平和の理念としてのチュチェ思想の普遍的意義についてであった。朝鮮の学者らは、チュチェ思想が空理空論ではなく、人民的で革命的な政治哲学であるということを強調したし、多くの研究者や活動家が、金日成主席と金正日総書記の著作を引用しながらチュチェ思想の真理性を指摘し、それを国際社会と自国の実践に適用すべきであると主張した。

 とくにチュチェ思想に基づいて、資本主義社会における自主的な主体形成の理論を展開した埼玉大学・鎌倉孝夫教授の討論や、チュチェ思想を指針に社会主義を再生する強い意志を表明したロシア共産主義青年同盟ベレッスキー第1書記の討論が注目された。在日朝鮮社会科学者代表団は「主体性・民族性の堅持に関する思想と在日朝鮮人運動へのその具現」というテーマで討論に参加した。

 一方、きびしい軍事的緊張と自然災害による経済的困難の中でも、唯一の超大国アメリカに立ち向かい、独自の社会主義の道を進む朝鮮人民の「苦難の行軍」を、ポスト冷戦の混沌の中から自主・平和への進路を切り開く人類史的意義をもつ闘争であるとし、国際的連帯を訴える討論も多かった。とくに強い印象をうけたのは、グローバリゼーションの名のもとに進む「世界の一体化」へのアンチテーゼとしての、チュチェ思想の現代的意義に関する指摘であった。国民国家の解体とボーダレス化が時代のすう勢のごとく叫ばれているが、その本質は欧米式「市場経済」・「自由民主主義」による「世界の一体化」にある。すなわち、市場の限界にぶつかった国際独占体が、利潤獲得の舞台としての「市場経済」と、そのためのルールとしての「自由民主主義」を世界の隅々にまで強要しようということである。

 このような危険な流れに対する有効な対抗理念がチュチェ思想であり、それはとくに主体性・民族性の堅持に関する思想であると、政治家や社会運動家から強く主張された。

 閉会で採択されたニューデリー宣言は「チュチェ思想は、今日も明日も、そして世紀とともに人類の自主偉業を勝利へと導く指導思想となるであろう」と高らかにうたったが、まさにセミナーは、21世紀を目前にして自主・平和の新時代を展望する政治理念としての、チュチェ思想の価値と可能性を示した歴史的会議であった。(朝鮮大学校政治経済学部哲学講座長)