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時事・解説//共和国で進む複合微生物肥料生産


 食糧問題をはじめ一時的な経済的難関を経ている共和国で、複合微生物肥料の導入により農産物増産に明るい光をもたらしている。共和国では、農地の地力を高めて肥料をしっかり与えれば農産物増産は十分に可能だ。総聯や女性同盟、商工人、科学者など多くの在日同胞の協力のもと、昨年度は60余の工場で生産された複合微生物肥料を全国の稲作、畑作の半分近くに使用し、確実な効果を上げている。

 

農産物増産に明るい光/同胞の協力で全国に一般化

効能――地力高め肥沃な土地に

 複合微生物肥料とは、地力向上に有効な有機物質を土の中で発酵・分解させて様々な肥料を作り出すことで、農産物増産に高い効果を発揮する肥料だ。

 複合微生物肥料は液体状で、水で薄めて使われる。少量で広く散布でき、土壌をアルカリ性の肥沃な土壌に変える特長を持ち、発酵堆肥を作るのにも使われる。複合微生物には酵母、乳酸菌、放線菌、光合成細菌などがある。

 共和国ではこれまで、動物の排泄物などを腐食させた腐食堆肥が使われてきたが、有機物質を分解する際に有効成分のアンモニアや硫化水素がガス化して空中に漏れてしまい、同時に悪臭を発生させる欠点を持っていた。その点、腐食ではなく発酵という方法を使えば、有効成分を漏らさず、アミノ酸という形で土の中に残すことができる。

 金正日総書記は去る1月に慈江道を現地指導した際、複合微生物肥料を積極的に活用して農業を営むよう指導した。

 共和国の農地は土壌の酸性化のため地力が低いが、複合微生物肥料を与えることで地力を高めることができる。そのため、数年前から複合微生物肥料の生産に力を入れ、全国に一般化されており、収穫で確実な効果が上がっている。

 

成果――各地で確実に収穫増

 共和国各地の農場では複合微生物肥料を使って農産物増産に力を注いでいる。

 その模範となっているのが万景台区域国営農場だ。

 8つの分場、計2219町歩の農地を束ねる同農場の愛国複合微生物肥料工場では、1996年から実験的に複合微生物肥料を使い続けた結果、白菜畑で1町歩当たり40トンだった収穫量が倍増し、キュウリ畑でも前年比150%増産となった。鳳水分場の野菜第1作業班では、複合微生物肥料を撒いた野菜畑の収穫量が、撒かなかった畑に比べ1.4倍に増え、水田では1坪当たり50〜90の稲穂が増えた。

 同工場では今年、複合微生物肥料の生産量を当初の計画より1.4倍に増やして各分場に供給している。

 開城市でも複合微生物肥料生産に奮闘している。

 板門愛国複合微生物肥料工場では、肥料培養設備の消毒を短期間で終え、菌の培養拡大に取り掛かっており、温度管理をしっかりと行うことで培養拡大率をはるかに高めている。

 開豊愛国複合微生物肥料工場の培養作業班では、原料配合と器材管理を徹底し、生産工程を合理化させることで肥料の質を高く保っている。また、撹拌機や培養タンクなどの運転を、培養液の物理化学的性質に合わせてしっかりと行うことで、菌がより良く育つようにしている。開豊郡の五山農場では今年、複合微生物肥料の生産量を昨年の2倍に増やす目標を立てた。

 平壌市江南愛国複合微生物肥料工場でも、昨年2月に設備を拡張して年間1000トンの生産能力を得、昨年までに約1万町歩の農地に複合微生物肥料を撒いた。96年に一部の農地に200トンの複合微生物肥料を撒いたところ、稲の収穫高が4〜5トンだった水田で400〜500キログラムずつ増加し、野菜は25〜28%、トウモロコシは58%増産となった。

 同工場のキム・ヨンギョン党書記は「私たちの協同農場の土質は元来、農業には合わなかったが、複合微生物肥料を使ってからは土質が少しずつ変化し、地力も上がってきた。今までの肥料に比べ、複合微生物肥料は素晴らしい」と語る。